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ベトナム人妻の親を日本に呼べる?短期滞在の招へいと長期同居の現実

ベトナム人女性との結婚生活が落ち着くと、次に出てくるのが妻の親の話です。出産を手伝ってほしい、孫の顔を見せたい、いずれ一緒に住めないか。そう考える方は少なくありません。

本記事では、妻の親を日本に呼ぶ方法を、制度の建て付けから整理します。結論を先に言えば、長期の同居は制度上かなり難しく、現実的な選択肢は短期滞在です。

在留資格や査証の判断は入管や領事の裁量によります。本記事は一般的な制度の説明であり、許可を保証するものではありません。

妻の親を長期で呼び寄せる在留資格は用意されていない

日本人の配偶者の親を対象にした在留資格は制度として存在せず、出入国在留管理庁も外国人の親の入国・在留は通常認められないと明記しています。

まずここを押さえないと、実現しない計画に時間を使うことになります。

入管庁の原文が示していること

出入国在留管理庁は、特定活動のうち高度専門職外国人の親に関する案内の冒頭で、次のように述べています。

通常、就労資格で在留する外国人の親の入国・在留は認められていません

親を日本に呼んで一緒に住むという発想自体が、日本の在留制度では例外的な位置づけにあります。

「日本人の配偶者等」は親を含まない

ベトナム人妻が持つ「日本人の配偶者等」という在留資格は、日本人の配偶者と、日本人の実子などを対象とするものです。妻の親は含まれません。

夫が日本人であっても、義理の親を呼ぶ資格が自動的に生まれるわけではないという点に注意してください。配偶者ビザそのものについてはベトナム人配偶者ビザの取り方で解説しています。

だから現実的な選択肢は短期滞在になる

長期の在留資格が用意されていない以上、実務で使われているのは短期滞在です。滞在期間の上限はありますが、手続きの見通しは立てやすくなります。

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短期滞在(親族訪問)で90日以内なら呼べる

配偶者や3親等以内の血族・姻族の訪問は、短期滞在査証の親族訪問として申請でき、最大90日まで滞在できます。

日本にいる家族を訪ねるための区分であり、妻の親はここに当てはまります。

対象になる親族の範囲

在ベトナム日本国大使館・総領事館が案内する親族訪問の対象は、配偶者、血族・姻族3親等以内の訪問です。妻の親は姻族1親等にあたるため、範囲に入ります。

妻のきょうだいや祖父母も3親等以内に収まりますが、申請が通るかどうかは個別の判断になります。

呼ぶ場面として多いのは出産と結婚式

仲人として日越夫婦を見てきた範囲では、妻の母親を日本に呼ぶ場面が集中するのは出産のタイミングです。産後の数か月、母親に来てもらって家事と育児を手伝ってもらう形が最も多くなります。

次に多いのが、日本側で結婚披露の食事会を開くときです。いずれも「なぜその時期に呼ぶのか」がはっきりしているため、申請の説明もしやすくなります。

申請するのはベトナム側、準備するのは日本側

査証を申請するのは、ベトナムにいる親本人です。一方で、申請に必要な書類の多くは日本側が用意して送ります。

日本の夫が動かないと前に進まない仕組みになっているため、渡航予定の2〜3か月前から準備を始めてください。

在ホーチミン日本国総領事館が示す必要書類

親族訪問の短期滞在査証では、旅券・申請書・写真に加えて、日本側が用意する身元保証書・招へい理由書・滞在予定表が中心になります。

在ホーチミン日本国総領事館が公開している必要書類の一覧(令和6年6月3日)にもとづいて整理します。

申請者本人が用意するもの

書類補足
旅券人定事項ページの写し
査証申請書申請日付と、旅券と同一の署名を記入する
写真縦4.5cm × 横3.5cm、6か月以内に撮影したもの

写真の規格は日本の証明写真と異なります。現地で撮り直しになることがあるため、サイズを先に伝えておいてください。

日本の招へい人が用意するもの

書類補足
身元保証書申請人が2名以上なら申請人名簿も添える
身元保証人の収入を証明する資料課税(所得)証明書、納税証明書(様式その2)、過去6か月の銀行取引明細書のいずれか1通
住民票世帯全員分・続柄記載・3か月以内発行。省略のないもの
招へい理由書住所・氏名・電話番号を明記する
滞在予定表日本側の招へい人が作成する
戸籍謄本招へい人または配偶者が日本人の場合。3か月以内発行
親族関係を立証する資料出生証明書など

身元保証人は、日本に住む夫が務めるのが一般的です。妻の親と夫の親族関係は、妻の出生証明書と夫婦の戸籍謄本をつないで示します。

源泉徴収票は受け付けられない

収入を証明する資料について、総領事館の案内には源泉徴収票は受付しないと明記されています。会社員の方が真っ先に思いつく書類が使えないため、注意が必要です。

市区町村で課税(所得)証明書を取るか、税務署で納税証明書(様式その2)を取るか、銀行の取引明細書を用意します。

本人が費用を全額負担できる場合は書類が減る

申請者本人が渡航費用の全額を負担することを証明できる書類がある場合、身元保証書・身元保証人の収入資料・住民票は原則不要とされています。

該当する書類は、直近6か月の銀行口座の出入金記録、定期預金の残高証明書、公的機関が発給する所得証明書などです。妻の実家に十分な預金がある場合は、この方法のほうが日本側の負担が軽くなります。

招へい理由書は具体的に書かないと通らない

総領事館は、単に親族訪問という漠然とした記載ではなく、招へいに至った経緯・日本での活動・訪問先を具体的に書くよう求めています。

書類の中で、日本側の書き方がそのまま結果に影響するのがこの2点です。

求められている具体性の水準

総領事館の案内には、招へい理由書について「単に『親族訪問』といった漠然としたものでなく、具体的に招聘に至った経緯、本邦における活動、訪問先等を明記してください」と書かれています。

つまり「娘に会いに来る」だけでは足りません。いつ出産予定で、産後どの期間に何を手伝ってもらうのか、その間どこに滞在するのかまで書く必要があります。

滞在予定表は1日ごとに作る

滞在予定表は日本側の招へい人が作成します。到着日と帰国日について、日時・便名・空港を必ず記載し、滞在先は所在地と電話番号まで書きます。

日程は1日ごとに作りますが、同じ行動が連日続く場合は「◯年◯月◯日〜◯年◯月◯日」とまとめて記入して差し支えないとされています。

漠然とした理由書で止まった例

相談を受けた中で実際にあったのが、招へい理由書を数行で済ませてしまい、追加資料を求められて渡航予定に間に合わなかったケースです。出産予定日に合わせていたため、時期をずらす選択肢がありませんでした。

総領事館の案内にも、個別の事情により追加資料の提出や面接を求める場合があること、人道上の配慮が必要な案件を除き早期発給はできないことが明記されています。出産のように日程を動かせない用事で呼ぶなら、余裕を持って準備してください。

招へい理由書に何をどこまで書けばよいか相談したい方は、状況を伺ってお答えします。

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老親扶養と呼ばれるものの正体

老親扶養は告示で定められた在留資格ではなく、法務大臣が個々に指定する告示外の特定活動として、例外的に判断されるものです。

インターネットで検索すると「老親扶養ビザ」という言葉が並びますが、制度の位置づけを正しく理解しておく必要があります。

特定活動の一覧に老親扶養はない

出入国在留管理庁が公開している特定活動の一覧には、家事使用人、ワーキング・ホリデー、EPA看護師・介護福祉士とその家族、高度専門職外国人またはその配偶者の親、デジタルノマドなどが並んでいます。

この一覧に、老親扶養という項目はありません。特定活動という在留資格は「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」を対象とするもので、告示に載っていない活動を個別に指定する余地があります。老親扶養と呼ばれているのは、その余地を使った例外的な扱いです。

「申請すれば取れる」ものではない

告示に定めがないということは、要件を満たせば許可されるという性質の制度ではないということです。本国に他に扶養できる親族がいない、高齢や病気で単身生活が困難であるといった、人道上の配慮を要する事情が問われます。

妻の親を将来的に引き取る前提で生活設計を組むことは、おすすめできません。可能性がゼロだという意味ではありませんが、確実に見込める制度ではないためです。

相談するなら行政書士へ

告示外の特定活動を検討する場合、個別の事情を組み立てて申請する必要があります。在留資格の申請取次は行政書士の業務であり、当相談所は代行を行いません。

高度専門職の親の制度と混同しない

高度専門職外国人またはその配偶者の親を呼べる制度はありますが、対象は高度専門職の在留資格を持つ外国人であり、日本人の夫の義理の親には使えません。

検索で出てくる「親を呼べる制度」の多くは、この高度専門職向けの優遇措置を指しています。

認められるのは2つの場合だけ

入管庁の案内によれば、高度専門職外国人またはその配偶者の親の入国・在留が認められるのは、次のいずれかの場合です。

  • 高度専門職外国人もしくはその配偶者の7歳未満の子(養子を含む)を養育するため
  • 高度専門職外国人の妊娠中の配偶者、または妊娠中の高度専門職外国人本人に対し、介助・家事その他の必要な支援をするため

高度専門職外国人が先に入国したのち、本国から親を呼び寄せることも可能とされています。特別高度人材外国人も対象に含まれます。

日本人配偶者のケースとの違い

この制度の主語は、あくまで高度専門職の在留資格で日本にいる外国人です。日本人男性がベトナム人女性と結婚した場合、妻は「日本人の配偶者等」であって高度専門職ではありません。

したがって、この優遇措置は使えません。名前が似ているために期待してしまいやすい部分なので、切り分けて理解してください。

現実的にどう付き合っていくか

長期の同居が難しい以上、短期滞在を定期的に組み合わせ、日本から会いに行く機会も確保する形が現実的です。

制度の枠内でできることを積み重ねるほうが、結果として家族の関係は保てます。

短期滞在を繰り返す場合の注意

短期滞在は最大90日で、日本で就労することはできません。また、短期間に繰り返し入国すると、滞在目的について説明を求められることがあります。

年に1回、時期を決めて呼ぶという形にすると、生活のリズムも作りやすくなります。

妻の里帰りとの組み合わせ

親を日本に呼ぶだけでなく、妻が子どもを連れて里帰りする形も選択肢です。費用と日程の考え方はベトナム人妻の里帰りはどれくらい?にまとめています。

呼ぶ年と帰る年を交互にする夫婦もいます。移動の負担を高齢の親に集中させない工夫として現実的です。

仕送りと介護をどう考えるか

同居ができない以上、経済的な支援をどうするかという話が出てきます。金額や頻度は家庭ごとに大きく異なるため、夫婦で決め方を共有しておくことが大切です。

考え方の整理はベトナム人との結婚と家族への仕送りにまとめています。将来の在留の安定についてはベトナム人妻の永住権は結婚何年で取れるかもあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

ベトナム人妻の親を日本に呼んで一緒に住めますか?

日本人の配偶者の親を対象にした在留資格がないため、長期の同居は制度上難しく、短期滞在での訪問が現実的です。

短期滞在は何日まで滞在できますか?

最大90日です。査証の発給は領事の判断によります。

身元保証人は誰がなりますか?

日本に住む夫が務めるのが一般的です。収入を証明する資料の提出が必要になります。

源泉徴収票で収入を証明できますか?

在ホーチミン日本国総領事館の案内では、源泉徴収票は受付されないとされています。課税(所得)証明書、納税証明書(様式その2)、銀行の取引明細書のいずれかを用意してください。

老親扶養ビザは申請すれば取れますか?

告示で定められた在留資格ではなく、法務大臣が個々に指定する例外的な扱いです。取得を前提に生活設計を組むことはおすすめできません。

高度専門職の親を呼ぶ制度は使えますか?

対象は高度専門職の在留資格を持つ外国人本人またはその配偶者の親です。日本人の夫の義理の親には適用されません。

まとめ

ベトナム人妻の親を長期で呼び寄せる在留資格は、制度として用意されていません。入管庁も、外国人の親の入国・在留は通常認められないと明記しています。

現実的な方法は、短期滞在の親族訪問で90日以内の滞在です。日本側が用意する身元保証書・招へい理由書・滞在予定表が要になり、特に招へい理由書には具体性が求められます。源泉徴収票が使えない点も見落としやすいところです。

老親扶養と呼ばれるものは告示外の特定活動で、人道上の配慮を要する事情がある場合の例外的な扱いです。高度専門職の親の制度は、日本人の夫の義理の親には使えません。

ベトナム国際結婚の全体像はベトナム国際結婚 完全ガイドに、結婚後の暮らしはベトナム人女性との結婚生活にまとめています。

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参考(一次情報)

(本記事の内容は2026年8月時点の公表内容にもとづきます。必要書類は変更されることがあるため、申請前に大使館・総領事館の最新の案内を確認してください。査証および在留資格の判断は領事および入管によります)

Supervisor

この記事の監修者

安仲 圭大アオザイブライダル代表

2021年よりベトナム・ホーチミン在住。現地で貿易を行う商社と不動産販売会社を経営し、ベトナム人仲人と日本人仲人の2名体制で、日本人男性とベトナム人女性の国際結婚をサポートしている。

執筆協力:Pham Thi Thanh Anシニアカウンセラー

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