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ベトナムの家族は扶養控除に入れられる?年38万円送金の要件を解説

ベトナム人妻と暮らしていると、妻の実家へ仕送りをしている家庭は珍しくありません。毎年まとまった額を送っているなら、扶養控除に入れられないかと考えるのは自然なことです。

本記事では、ベトナムに住む家族を扶養控除の対象にできるかを、国税庁が公表している要件にもとづいて整理します。年齢による区分と、必要になる書類が中心です。

税務の個別の判断は税理士や税務署の領域です。当相談所は税務相談を受けられないため、本記事は一般的な制度の説明としてお読みください。

妻本人と、ベトナムの家族は分けて考える

日本に住む妻は居住者として通常の配偶者控除の対象になり、ベトナムに住む家族は国外居住親族として別の要件が課されます。

同じ「扶養」という言葉で語られますが、制度としては別の話です。

日本で暮らす妻の場合

妻が配偶者ビザで日本に住んでいれば、税法上は居住者です。配偶者は扶養控除ではなく、配偶者控除または配偶者特別控除の対象になります。

日本人同士の夫婦と同じ扱いになるため、国籍を理由に特別な書類が求められることはありません。

ベトナムに住む家族の場合

一方、ベトナムに住んでいる妻の親やきょうだいは非居住者です。国外居住親族として、日本に住む親族とは異なる要件が課されます。

この違いを知らずに年末調整の用紙へ書き込むと、書類が足りずに差し戻されます。

混同すると年末調整でつまずく

実務でよくあるのが、妻を扶養控除の欄に書いてしまう、あるいはベトナムの親を日本の親と同じ感覚で書いてしまうケースです。

妻は配偶者の欄、ベトナムの家族は国外居住親族としての書類つき、と分けて考えてください。

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国外居住親族は年齢で3つに分かれる

令和5年分以後の所得税では、非居住者である扶養親族は年齢によって扱いが分かれ、30歳以上70歳未満は原則として対象外です。

国税庁は、非居住者である扶養親族について、次のいずれかに該当する人に限り控除対象扶養親族に該当すると示しています。

年齢(その年12月31日現在)扱い
16歳以上30歳未満控除対象扶養親族に該当する
30歳以上70歳未満原則として対象外(例外あり)
70歳以上控除対象扶養親族に該当する

16歳未満は、そもそも控除対象扶養親族に含まれません。

ベトナムの親はこの年齢帯に入りやすい

日本人男性がベトナム人女性と結婚する場合、妻の親は50代から60代であることが多くなります。つまり、最も対象外になりやすい30歳以上70歳未満の年齢帯にちょうど入ります。

「仕送りしているから当然入れられる」と考えていると、要件を満たしていないことに年末調整で気づくことになります。

なぜこの区分ができたのか

以前は、非居住者の親族についても年齢を問わず扶養控除の対象になっていました。実態の伴わない適用が問題となり、令和5年分の所得税から年齢による区分が設けられています。

30歳以上70歳未満でも対象になる3つの例外

30歳以上70歳未満でも、留学・障害者・年38万円以上の支払いのいずれかに当たれば、控除対象扶養親族になります。

国税庁が示している例外は次の3つです。

例外内容
留学により国内に住所および居所を有しなくなった人
障害者である人
納税者からその年において生活費または教育費に充てるための支払を38万円以上受けている人

実務で使えるのは年38万円以上の送金

イの留学は、もともと日本に住んでいた人が留学で出た場合を指すため、ベトナムに住み続けている親には当てはまりません。ロの障害者も限られた場合です。

したがって、ベトナムの家族を扶養に入れられるかどうかは、実質的にハの年38万円以上という基準を満たすかどうかで決まります。

38万円は生活費または教育費に充てるための支払い

条文で示されているのは「生活費または教育費に充てるための支払」です。金額はその年に支払った合計で判断します。1回で送る必要はありません。

一方で、贈答や一時的な援助ではなく、生活を支えるための支払いであることが前提になります。金額だけを合わせればよいという性質のものではありません。

うちの送金額で要件を満たすか整理したいという方は、状況を伺ってお答えします。

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必要書類は親族関係書類と送金関係書類

国外居住親族の控除を受けるには、親族関係書類と、送金関係書類または38万円送金書類を提出または提示する必要があります。

書類が揃わなければ、要件を満たしていても控除は受けられません。

親族関係書類とは

その人が納税者の親族であることを示す書類です。ベトナムの家族であれば、現地の役所が発行する出生証明書や戸籍にあたる書類、および妻との関係を示す書類の組み合わせになります。

妻の親であれば、夫と妻の婚姻関係を示す戸籍謄本と、妻とその親の関係を示すベトナムの書類をつないで示す形になります。

送金関係書類と38万円送金書類

送金関係書類は、その年に生活費や教育費を支払ったことを明らかにする書類です。金融機関の送金記録やクレジットカードの利用明細などが該当します。

38万円送金書類は、その年に38万円以上を支払ったことを明らかにする書類です。30歳以上70歳未満の親族についてハの例外で控除を受ける場合に必要になります。

ベトナム語の書類には和訳が要る

国税庁は、これらの書類が外国語で作成されている場合には和訳文を含むと明記しています。ベトナムの役所が発行する書類はベトナム語であるため、和訳が必須です。

年末調整の直前に慌てて訳すことになりがちなので、書類は早めに取り寄せてください。

現金の手渡しは記録が残らない

仲人として相談を受けた中で多いのが、帰省のたびに現金を手渡ししている家庭です。金額としては年38万円を超えていても、送金関係書類が用意できません。

扶養控除まで視野に入れるなら、銀行送金など記録が残る方法に切り替えてください。手数料はかかりますが、記録が残ることには別の価値があります。

控除額はいくらになるか

一般の控除対象扶養親族は38万円、70歳以上の老人扶養親族は48万円または58万円です。

国税庁が示している控除額は次のとおりです。

区分控除額
一般の控除対象扶養親族38万円
特定扶養親族(19歳以上23歳未満)63万円
老人扶養親族(70歳以上)同居老親等以外48万円
老人扶養親族(70歳以上)同居老親等58万円

控除対象扶養親族は、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人を指します。

同居老親等は日本で同居している場合

同居老親等とは、老人扶養親族のうち、納税者またはその配偶者の直系尊属で、納税者またはその配偶者と普段同居している人をいいます。

ベトナムに住んでいる親は同居していないため、この区分には当たりません。70歳以上であれば48万円の区分になります。妻の親を日本に呼んで同居できるかについてはベトナム人妻の親を日本に呼べる?をご覧ください。

所得金額の要件

扶養親族の要件のひとつに、年間の合計所得金額が48万円以下であることが含まれます。ベトナムで働いて収入がある場合は、この要件も確認が必要です。

仕送りとどう両立させるか

扶養控除を意識するなら、送金は銀行を通し、年間の合計額と記録が残る形にします。

税制のために仕送りの形を変えるのではなく、記録の残し方を整えるという発想です。

送金の方法を決めておく

送金サービスを使う場合も、明細が残るものを選んでください。年に何回、いくら送ったかを一覧にしておくと、年末調整の時期に慌てません。

金額の決め方は税制と切り離す

いくら送るかは、夫婦の家計と妻の実家の事情で決める話です。控除の基準に合わせて金額を決めると、家計に無理が出ます。

金額や頻度の考え方はベトナム人との結婚と家族への仕送りにまとめています。まず夫婦で方針を決め、そのうえで記録の残し方を整えてください。

妻の収入がある場合

妻が日本で働いている場合、妻自身が扶養控除を適用することも考えられます。夫婦のどちらで申告するかによって結果が変わるため、勤務先や税務署に確認してください。

妻の就労についてはベトナム人妻は日本で働ける?にまとめています。

よくある質問(FAQ)

日本に住んでいる妻は扶養控除の対象ですか?

配偶者は扶養控除ではなく、配偶者控除または配偶者特別控除の対象です。日本に住んでいれば居住者として扱われます。

ベトナムに住む妻の母を扶養に入れられますか?

年齢が30歳以上70歳未満であれば、年38万円以上の生活費等の支払いなど、例外に当たる場合に限られます。70歳以上であれば年齢の要件は満たします。

38万円は1回で送らないといけませんか?

その年の合計で判断します。ただし支払いの事実を書類で示す必要があります。

現金を手渡ししている場合はどうなりますか?

送金関係書類が用意できないため、証明が難しくなります。銀行送金など記録の残る方法をおすすめします。

ベトナム語の書類はそのまま出せますか?

外国語で作成されている場合は和訳文を添える必要があります。

控除額はいくらですか?

一般の控除対象扶養親族は38万円、70歳以上の老人扶養親族は48万円または58万円です。

まとめ

日本に住む妻は居住者として配偶者控除の対象になり、ベトナムに住む家族は国外居住親族として別の要件が課されます。まずこの2つを分けて考えてください。

国外居住親族は年齢で扱いが分かれ、令和5年分以後の所得税では30歳以上70歳未満が原則として対象外です。ベトナムの親はこの年齢帯に入りやすく、実務上は年38万円以上の生活費等の支払いという例外に当たるかどうかが焦点になります。

必要になるのは親族関係書類と、送金関係書類または38万円送金書類です。ベトナム語の書類には和訳が要ります。現金の手渡しでは証明できないため、記録の残る方法に切り替えてください。

国際結婚の全体像はベトナム国際結婚 完全ガイドにまとめています。

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参考(一次情報)

(本記事の内容は2026年8月時点の公表内容にもとづきます。税制は改正されることがあり、個別の判断は税理士または税務署にご確認ください)

Supervisor

この記事の監修者

安仲 圭大アオザイブライダル代表

2021年よりベトナム・ホーチミン在住。現地で貿易を行う商社と不動産販売会社を経営し、ベトナム人仲人と日本人仲人の2名体制で、日本人男性とベトナム人女性の国際結婚をサポートしている。

執筆協力:Pham Thi Thanh Anシニアカウンセラー

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