国際結婚で住宅ローンは組める?外国籍の妻と家を買うときの注意点
ベトナム人女性との結婚生活が数年続き、子どもが生まれると、そろそろ家をという話が出てきます。そのときに引っかかるのが、妻が外国籍であることが審査に影響するのかという不安です。
本記事では、国際結婚の夫婦が住宅ローンを組むときの考え方を、誰の名義で借りるかという切り口から整理します。フラット35の申込要件と、家の持分を妻名義にする場合の税務上の注意点もあわせて解説します。
金融機関の審査基準は各社が個別に定めています。本記事は一般的な制度の説明であり、特定の商品や審査結果を保証するものではありません。
夫が単独で組むなら妻の国籍は関係ない
日本人の夫が単独で住宅ローンを申し込む場合、妻が外国籍であることは申込要件に影響しません。まずここを押さえておけば、不安の大半は解消します。
審査されるのは借りる本人
住宅ローンの審査で見られるのは、借りる本人の年収、勤続年数、返済負担率、信用情報などです。配偶者の国籍を理由に、日本人本人の申込みが制限されるという仕組みにはなっていません。
妻が「日本人の配偶者等」の在留資格で日本に住んでいる状態でも、夫が単独で借りる限り、通常どおり手続きが進みます。
妻を審査に入れると話が変わる
一方、妻の収入を合算する、妻を連帯債務者にする、ペアローンを組むといった形にすると、妻自身が審査の対象になります。この時点で、妻の在留資格が問われるようになります。
つまり分かれ目は、妻を借りる側に立たせるかどうかです。まず決めるのは「誰の名義で借りるか」
住宅会社や銀行に相談に行く前に、夫単独で借りるのか、夫婦で借りるのかを決めておいてください。ここが決まっていないと、話が何度も戻ります。
夫の年収だけで希望額に届くのであれば、単独で組むのが手続きとしては最も単純です。
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フラット35は外国籍なら永住者・特別永住者が条件
フラット35では、外国籍の方が申し込む場合に「永住者」または「特別永住者」の資格が必要とされています。公的な住宅ローンであるフラット35は、要件が明文で公開されているため、基準がはっきりしています。
申込要件を条文で確認する
住宅金融支援機構が公開しているフラット35の申込要件は次のとおりです。
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| 年齢 | 申込時の年齢が満70歳未満(フラット50利用時は70歳以上も可) |
| 国籍・在留資格 | 日本国籍の方、永住許可を受けている方または特別永住者の方 |
| 総返済負担率 | 年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下 |
外国籍の方が申し込む場合は、通常の申込要件に加えて「永住者」または「特別永住者」の資格が必要と案内されています。該当する場合は、連帯債務者となることや住宅を共有することもできるとされています。
資格がなかった場合は一括返済という定め
見落とせないのが、機構の案内にある次の記載です。永住者または特別永住者の資格がなかったことが判明した場合は、借入金を一括して返済することになると明記されています。
在留資格の申告を曖昧にしたまま進めてよい話ではありません。妻を借りる側に入れるなら、永住許可の有無を最初に確認してください。
配偶者ビザだけでは連帯債務者になれない
ベトナム人妻が「日本人の配偶者等」の在留資格のみを持ち、永住許可を受けていない場合、フラット35では連帯債務者になれません。
ただし繰り返しになりますが、これは妻が借りる側に立つ場合の話です。日本人の夫が単独で申し込む分には、妻の在留資格は要件に関係しません。
妻を収入合算やペアローンに入れる場合
妻の収入を合算したりペアローンを組んだりする場合は、妻自身が審査対象になるため、在留資格が問われます。借り方には大きく3つの形があります。
3つの組み方の違い
| 組み方 | 借りる人 | 妻の在留資格 | 家の持分 |
|---|---|---|---|
| 夫の単独 | 夫のみ | 問われない | 夫のみ |
| 収入合算(連帯保証・連帯債務) | 夫が主債務者、妻が合算 | 問われる | 形態による |
| ペアローン | 夫と妻がそれぞれ借りる | 問われる | 夫婦で持ち合う |
借入可能額を増やしたい場合に収入合算やペアローンが検討されますが、妻の在留資格と就労状況が審査に入ってきます。
民間金融機関の基準は各行で異なる
民間の金融機関でも、外国籍の方については永住許可を条件とするところが多く見られます。一方で、個別の事情に応じて相談を受け付けているところもあります。
基準は各金融機関が独自に定めているため、一般論として「組める」「組めない」と決めつけず、複数の窓口で確認してください。本記事で特定の金融機関を挙げることはしません。
在留期間の残りが短いと不利になりやすい
妻が借りる側に入る場合、在留期間の残りが短いと、返済期間との対比で慎重に見られます。配偶者ビザの在留期間は1年から5年で、初回は1年になることが多くなります。
在留期間を伸ばしていく流れはベトナム人配偶者ビザの取り方で解説しています。
妻の勤続年数と雇用形態
収入合算やペアローンでは、妻の勤続年数と雇用形態も見られます。来日して間もない時期は勤続年数が短く、審査で不利になりやすいのが実情です。
妻の就労についてはベトナム人妻は日本で働ける?にまとめています。
うちはどの組み方が現実的か相談したいという方は、状況を伺ってお答えします。
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持分を妻名義にするなら贈与税に注意
購入資金の負担割合と登記の持分割合がずれると、差額が贈与とみなされることがあります。家の名義を夫婦で分ける場合、税務上の注意点があります。
国税庁が示している具体例
国税庁のタックスアンサーには、次の例が示されています。総額3,000万円の住宅を購入し、夫が2,000万円、妻が1,000万円を負担したにもかかわらず、所有権の登記を夫婦それぞれ2分の1とした場合です。
妻の登記持分は3,000万円の2分の1で1,500万円になりますが、実際の負担は1,000万円です。この差額500万円について、夫から妻へ贈与があったことになると説明されています。
負担割合に応じて夫3分の2、妻3分の1で登記していれば、贈与税の問題は生じないとされています。根拠となる法令は相続税法9条です。
妻に収入がない場合は持分を入れない
来日して間もなく妻に収入がない時期は、購入資金のほぼ全額を夫が負担することになります。それにもかかわらず妻の持分を入れると、その分が贈与とみなされる可能性があります。
気持ちの上で妻の名義を入れたいという相談は多いのですが、資金を負担していない持分を登記に入れることは避けてください。頭金を妻の預金から出す場合
妻がベトナムから持ってきた預金や、日本で働いて貯めたお金を頭金に充てる場合は、その分が妻の負担になります。この場合は持分を入れることに合理性があります。
送金や口座の記録を残しておくと、後から説明しやすくなります。具体的な税務の判断は税理士や税務署に確認してください。当相談所は税務の相談には応じられません。
永住権を取ると選択肢が広がる
永住許可を得ると、フラット35をはじめ、妻自身が借りる側に立てる商品の選択肢が増えます。住宅の計画と永住の取得は、切り離して考えないほうが得です。
永住の要件は婚姻3年・在留1年
日本人の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上続き、日本に引き続き1年以上在留していれば、永住許可を申請できます。要件と審査で見られる点はベトナム人妻の永住権は結婚何年で取れるかにまとめています。
家を買う前に永住を取るという順番
妻を収入合算やペアローンに入れたいのであれば、先に永住許可を取ってから住宅の話を進めるという順番が現実的です。永住の審査には半年から1年近くかかるため、逆算が要ります。
2027年からの改定案にも注意
2026年8月に公表された永住許可ガイドラインの改定案では、配偶者の特例を婚姻5年・在留3年へ伸ばす方向が示されています。改定案は確定した内容ではありませんが、住宅の計画と永住の取得を並行して考えるなら、時期は早いほうが選択肢が残ります。
家を買う段階で初めて在留資格を意識する夫婦が多い
住宅ローンは、在留資格が生活の選択肢に直結することを実感する最初の場面になります。制度の話が急に現実味を帯びるのが、この段階です。
仲人として見てきた場面
結婚のときは配偶者ビザが取れれば十分だと考えていた夫婦が、数年後に家を買おうとして「妻を名義に入れられない」と知る場面を何度も見てきました。悪い知らせのように受け取られますが、多くの場合は夫単独で組めば済む話です。
問題になるのは、夫の年収だけでは希望額に届かず、妻の収入を当てにしていた場合です。そのときは住宅の予算を見直すか、永住を取ってから出直すかの二択になります。早い段階で知っておけば、どちらも選べます。
離婚や帰国の可能性をどう考えるか
長期の返済を組むうえで、将来の変化をどう見るかという話は避けて通れません。ペアローンは離婚時の整理が難しくなりやすい形です。
不安を煽るつもりはありませんが、名義の付け方は数十年先まで残ります。夫婦で決めるべき事柄として、時間を取って話し合ってください。結婚生活の考え方はベトナム人女性との結婚生活にまとめています。
団体信用生命保険の扱い
団体信用生命保険は、借りる本人が加入する保険です。夫が単独で借りるなら夫が加入し、ペアローンなら夫婦それぞれが加入します。
妻を連帯保証人にしただけの場合、妻は借入人ではないため、加入の対象にはなりません。
よくある質問(FAQ)
妻が外国籍だと住宅ローンは組めませんか?
日本人の夫が単独で申し込む場合、妻の国籍は申込要件に影響しません。
フラット35は外国籍でも使えますか?
永住者または特別永住者の資格があれば申し込めます。配偶者ビザのみでは対象になりません。
妻の収入を合算できますか?
合算する場合は妻自身が審査対象になるため、在留資格や勤続年数が問われます。基準は金融機関ごとに異なります。
家の名義を夫婦半分ずつにしてもよいですか?
資金の負担割合と持分割合がずれると、差額が贈与とみなされることがあります。負担割合に合わせて登記してください。
永住権があると有利になりますか?
フラット35のように永住を条件とする商品があるため、妻が借りる側に立てる選択肢は広がります。
団体信用生命保険は妻も入れますか?
借りる本人が加入する保険です。妻が借入人になる場合は妻も対象になります。
まとめ
国際結婚でも、日本人の夫が単独で申し込むなら住宅ローンは通常どおり組めます。妻の国籍や在留資格は、夫本人の申込要件には関係しません。
分かれ目は、妻を借りる側に立たせるかどうかです。収入合算やペアローンにする場合、フラット35では永住者または特別永住者の資格が必要とされ、民間の金融機関でも永住を条件とするところが多くなっています。
家の持分を妻名義にする場合は、資金の負担割合と登記の持分割合を一致させてください。負担していない持分を入れると、差額が贈与とみなされることがあります。
妻を名義に入れたいのであれば、先に永住許可を取るという順番が現実的です。永住の要件はベトナム人妻の永住権は結婚何年で取れるかに、国際結婚の全体像はベトナム国際結婚 完全ガイドにまとめています。
結婚後の生活設計を相談したい方は、お気軽にご質問ください。
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参考(一次情報)
- 住宅金融支援機構「【フラット35】ご利用条件」 https://www.flat35.com/loan/lineup/flat35/conditions/index.html
- 住宅金融支援機構「外国籍でも申込みできますか。」 https://jhffaq.jp/jhffaq/flat35/web/knowledge308.html
- 国税庁 タックスアンサー No.4411「共働きの夫婦が住宅を買ったとき」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4411.htm
(本記事の内容は2026年8月時点の公表内容にもとづきます。金融機関の審査基準は各社が個別に定めており、税務の判断は税理士・税務署にご確認ください)
Supervisor
この記事の監修者
安仲 圭大(アオザイブライダル代表)
2021年よりベトナム・ホーチミン在住。現地で貿易を行う商社と不動産販売会社を経営し、ベトナム人仲人と日本人仲人の2名体制で、日本人男性とベトナム人女性の国際結婚をサポートしている。
執筆協力:Pham Thi Thanh An(シニアカウンセラー)
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