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国際結婚の相続はどうなる?ベトナム人妻に残すために備えること

ベトナム人女性との結婚生活が長くなり、自分の年齢を意識し始めると、頭をよぎるのが相続の話です。自分に何かあったとき、妻は日本で困らずに済むのか。年齢差のある夫婦ほど、この不安は現実的です。

本記事では、国際結婚の相続がどう扱われるのかを、法の適用に関する通則法の条文にもとづいて整理します。あわせて、妻が日本の戸籍に入らないことが手続きでどう効いてくるのかにも触れます。

相続の個別の判断は弁護士や司法書士、税理士の領域です。当相談所は相続の相談を受けられないため、本記事は一般的な制度の説明としてお読みください。

相続は亡くなった人の本国法による

法の適用に関する通則法第36条は「相続は、被相続人の本国法による」と定めています。

つまり、どちらが亡くなるかによって適用される法律が変わります。

日本人の夫が亡くなった場合

被相続人が日本人であれば、相続には日本法が適用されます。ベトナム人妻も、日本の民法に従って相続人になります。

日本の民法では、配偶者は常に相続人になります。妻が外国籍であることを理由に相続人から外れるということはありません。

ベトナム人の妻が亡くなった場合

被相続人がベトナム国籍であれば、原則としてベトナム法が適用されることになります。日本に住んでいたかどうかではなく、国籍で判断されるためです。

本記事ではベトナムの相続法の中身には踏み込みません。実際にその場面になったときは、専門家に相談してください。

どちらの法律かで結論が変わる

同じ夫婦でも、夫が先に亡くなるか妻が先に亡くなるかで、適用される法律が違います。この構造を知らないまま「うちは日本に住んでいるから日本の法律だろう」と考えていると、前提が崩れます。

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婚姻の効力と夫婦の財産は住んでいる場所の法による

夫婦の本国法が異なる場合、婚姻の効力と夫婦財産制は、夫婦の常居所地法によります。

相続とは別の基準が使われる点に注意が必要です。

通則法25条が定める順番

通則法第25条は、婚姻の効力について次の順番で決めると定めています。

順番基準
1夫婦の本国法が同一であるときは、その法
2本国法が同一でない場合、夫婦の常居所地法が同一であるときは、その法
3いずれの法もないときは、夫婦に最も密接な関係がある地の法

日本人とベトナム人の夫婦は本国法が異なるため、1には当てはまりません。二人が日本で暮らしていれば常居所地法が同一となり、日本法によることになります。

夫婦財産制も同じ扱い

通則法第26条第1項は、夫婦財産制について第25条を準用すると定めています。日本で暮らしている夫婦であれば、夫婦の財産関係も日本法によることになります。

書面で準拠法を選べる余地がある

第26条第2項には、夫婦が署名し日付を記載した書面によって、どの法によるべきかを定めたときは、夫婦財産制はその法によるという規定があります。この定めは将来に向かってのみ効力を生じます。

制度としてはこうした選択の余地がありますが、実際に使うかどうかは専門家に相談したうえで判断してください。

妻が戸籍に入らないことが手続きに効く

外国人配偶者は日本の戸籍に入らないため、相続手続きで相続人であることを戸籍だけで示すことができません。

制度上の問題ではなく、書類を揃える手間の問題です。

日本の相続手続きは戸籍で人を確認する

日本の相続では、被相続人の戸籍をたどって相続人を確定します。日本人同士の夫婦であれば、同じ戸籍に配偶者が記載されているため、確認は簡単です。

ベトナム人妻の場合、妻は戸籍に入りません。夫の戸籍の身分事項欄に婚姻の事実と妻の氏名・国籍が記載されるにとどまります。戸籍の仕組みについてはベトナム人と結婚したら苗字はどうなるかで解説しています。

妻の身分を示す書類が別に要る

そのため、夫の戸籍に加えて、妻の身分を示すベトナムの書類が必要になります。ベトナム語で作成された書類には和訳を添えることになります。

金融機関や法務局の窓口で求められる書類は一律ではありません。手続きの入口で止まらないよう、必要書類を早めに確認しておくと妻の負担が減ります。

日本語の負担がそのまま妻にかかる

相続の手続きは書類が多く、日本語での説明も専門的です。夫が亡くなった直後の妻が、一人でこれを進めるのは簡単ではありません。

相続で本当に問題になるのは法律の建て付けより、残された妻が手続きを進められるかどうかです。

年齢差のある夫婦ほど早めに備える

年齢差のある夫婦では、夫が先に亡くなる可能性が現実的であるため、備えの意味が大きくなります。

日越の国際結婚では、10歳以上離れた夫婦も珍しくありません。

仲人として受ける相談

ホーチミンと日本の2名体制で仲人をしていると、50代・60代の男性から「自分が先に逝ったとき、妻はどうなるのか」という相談を受けます。結婚前の段階で聞かれることもあります。

不安の中身を聞くと、多くは法律そのものではなく、妻が日本で一人になったときに手続きを進められるかという心配です。年齢差の考え方はベトナム国際結婚で年齢差は何歳までOKかにまとめています。

遺言を残すという選択

遺言について、通則法第37条は「遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による」と定めています。日本人が日本で遺言を作るのであれば、日本法にもとづいて作成することになります。

遺言があれば、財産の分け方が明確になり、妻が手続きで迷う場面が減ります。作成の方法は専門家に相談してください。

妻に日本の制度を伝えておく

法律の備え以上に効くのが、妻自身が制度を知っていることです。どこに相談すればよいか、誰に連絡すればよいかを共有しておくだけでも違います。

妻の在留資格が今後どうなるかも関わる話です。永住についてはベトナム人妻の永住権は結婚何年で取れるかをご覧ください。

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夫が亡くなった後の妻の在留資格

配偶者ビザは日本人の配偶者としての身分にもとづく在留資格であるため、夫が亡くなった後の在留については別途手続きが必要になります。

相続とあわせて知っておきたい論点です。

在留資格は自動的に続くわけではない

「日本人の配偶者等」は、日本人の配偶者であることを前提とした在留資格です。夫が亡くなった場合、その前提が失われます。

日本での生活を続けるには、在留資格の変更などの手続きが必要になります。個別の判断は入管によるため、早い段階で確認してください。

永住を取っておく意味

永住許可を得ていれば、在留資格は「永住者」であり、日本人の配偶者であることを前提としません。この点は、年齢差のある夫婦にとって実務的な意味を持ちます。

永住の要件は、実体を伴った婚姻生活3年以上と引き続き1年以上の在留です。ただし2026年8月に公表された改定案では婚姻5年・在留3年へ伸ばす方向が示されており、時期によって扱いが変わる可能性があります。

子どもがいる場合

日本人の子がいる場合、在留資格の選択肢が変わることがあります。子どもの国籍や名前の考え方は国際結婚の子供の名前の考え方にまとめています。

よくある質問(FAQ)

ベトナム人の妻も相続人になれますか?

日本人の夫が亡くなった場合、相続は被相続人の本国法である日本法によります。日本の民法では配偶者は常に相続人になるため、国籍を理由に外れることはありません。

妻が先に亡くなった場合はどうなりますか?

被相続人がベトナム国籍であれば、原則としてベトナム法が適用されます。専門家にご相談ください。

妻は戸籍に入らないのに相続できるのですか?

相続できます。ただし戸籍だけでは相続人であることを示せないため、妻の身分を示すベトナムの書類と和訳が必要になります。

遺言はどちらの国の法律で作りますか?

通則法第37条により、遺言の成立および効力は、その成立の当時における遺言者の本国法によります。日本人が作るのであれば日本法にもとづきます。

夫が亡くなったら妻は日本にいられなくなりますか?

配偶者ビザは日本人の配偶者であることを前提とする在留資格のため、別途手続きが必要になります。永住を得ていれば前提が異なります。

夫婦の財産はどちらの国の法律で判断されますか?

夫婦の本国法が異なり、二人が日本に住んでいる場合は、常居所地法である日本法によります。書面で準拠法を定める規定もあります。

まとめ

相続は被相続人の本国法によります。日本人の夫が亡くなった場合は日本法が適用され、ベトナム人妻も日本の民法に従って相続人になります。妻が先に亡くなった場合は、原則としてベトナム法が適用されます。

婚姻の効力と夫婦財産制は、夫婦の本国法が異なる場合、常居所地法によります。日本で暮らしていれば日本法です。

実務で問題になるのは法律の建て付けより、妻が手続きを進められるかどうかです。妻は日本の戸籍に入らないため、相続人であることを示すのにベトナムの書類と和訳が要ります。年齢差のある夫婦ほど、遺言を含めた備えの意味が大きくなります。

国際結婚の全体像はベトナム国際結婚 完全ガイドにまとめています。

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参考(一次情報)

(本記事の内容は2026年8月時点の法令にもとづきます。相続の個別の判断は弁護士・司法書士・税理士にご確認ください)

Supervisor

この記事の監修者

安仲 圭大アオザイブライダル代表

2021年よりベトナム・ホーチミン在住。現地で貿易を行う商社と不動産販売会社を経営し、ベトナム人仲人と日本人仲人の2名体制で、日本人男性とベトナム人女性の国際結婚をサポートしている。

執筆協力:Pham Thi Thanh Anシニアカウンセラー

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