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ベトナム人と結婚したら苗字はどうなる?別姓のまま同じ姓を名乗る方法

ベトナム人女性との結婚が具体的に決まると、意外と早い段階で出てくるのが苗字の話です。「妻も同じ苗字になるのか」「戸籍はどうなるのか」と気にする方は少なくありません。

本記事では、ベトナム人と結婚した場合の苗字の扱いを、戸籍法や住民基本台帳法施行令の条文にもとづいて整理します。日本人側が妻の姓に変える方法、妻が日本の姓を名乗る方法、子どもの姓、離婚した場合までを順に見ていきます。

苗字は生活のあらゆる場面に関わる一方、変更には期限が定められています。婚姻届を出す前に全体像を知っておくと、あとから慌てずに済みます。

ベトナム人と結婚しても苗字は自動的に変わらない

日本人とベトナム人の結婚では、婚姻届を出しても双方の氏はそのままで、夫婦別姓になるのが原則です。

日本人同士の結婚に慣れていると意外に感じますが、国際結婚では婚姻によって当然に氏が変わることはありません。

日本人同士の結婚との違い

日本人同士の場合、婚姻届でどちらかの氏を選び、夫婦は同じ氏を名乗ります。一方、相手が外国籍の場合はこの仕組みが働きません。日本人の氏は結婚前のまま、ベトナム人配偶者の氏もそのままです。

婚姻届の用紙にも、外国人配偶者の氏を記入して夫婦の氏を選ぶ欄はありません。届出そのものは受理されますが、苗字は変わらないという結果になります。

妻はベトナム国籍のままなので本国の姓も変わらない

ベトナムでは、婚姻によって姓が変わらないのが一般的です。日本人男性と結婚しても、妻の本国での姓はそのままです。

つまり日本側でもベトナム側でも、何もしなければ夫婦は別々の姓を名乗り続けることになります。同じ姓にしたい場合は、次に説明する手続きを別に行う必要があります。

婚姻届の場で初めて知って戸惑う夫婦

仲人として立ち会ってきた中で、市区町村の窓口で「苗字は変わりません」と説明されて驚く男性を何度も見てきました。妻が日本の姓になることを当然の前提にしていた、というケースです。

一方でベトナム人女性の側は、姓が変わらないことをごく自然に受け止めています。この温度差自体が悪いわけではありませんが、苗字をどうするかは二人で事前に話しておくほうが落ち着いて決められます。

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戸籍と住民票はどう記載されるのか

外国人配偶者は日本の戸籍に入らず、日本人配偶者の戸籍の身分事項欄に婚姻の事実と相手の氏名・国籍が記載されます。

戸籍は日本国籍を持つ人を記載する制度であるため、ベトナム国籍の妻が戸籍に入ることはありません。

戸籍には入らないが記録は残る

日本人夫の戸籍には、婚姻した事実、婚姻の日、配偶者の氏名・国籍・生年月日が身分事項として記載されます。戸籍を見れば結婚していることは分かる状態になります。

「妻が戸籍に入らない」と聞くと結婚が不完全なように感じる方がいますが、法律上の夫婦であることに変わりはありません。戸籍の作りの問題であり、婚姻の効力とは別です。

住民票は世帯として一緒に記載される

一方、住民票は日本に住むベトナム人妻も外国人住民として記載されます。同じ住所で生活していれば、同一世帯として夫と一緒に記載されます。

住民票では続柄が「妻」と記載されるため、日常の手続きで家族であることを示す場面では住民票が使いやすくなります。

在留カードの氏名はベトナムの表記のまま

在留カードに記載される氏名は、パスポートに記載されたローマ字の氏名です。日本の姓に変わることはありません。

在留カードの氏名と、後述する通称は別のものです。通称を作っても、在留カードの氏名が置き換わるわけではない点を押さえておいてください。

日本人の側が妻の姓に変える場合は6か月が期限

外国人と婚姻した人が配偶者の氏に変更する場合、婚姻の日から6か月以内であれば家庭裁判所の許可なしに届け出ることができます。

苗字を揃える方法のひとつが、日本人側がベトナム人配偶者の姓に変えるという選択です。

戸籍法第107条第2項が定める期限

戸籍法第107条第2項は次のように定めています。

外国人と婚姻をした者がその氏を配偶者の称している氏に変更しようとするときは、その者は、その婚姻の日から六箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨及び変更しようとする氏の振り仮名を届け出ることができる。

婚姻の日から6か月以内であれば、届出だけで氏を変更できます。婚姻届と同時に出すこともできます。

6か月を過ぎると家庭裁判所の許可が必要になる

6か月を過ぎた場合、変更できなくなるわけではありません。ただし第107条第1項の原則に戻り、やむを得ない事由があるとして家庭裁判所の許可を得る必要があります。

家庭裁判所がどう判断するかは事案によります。手続きの負担が大きく変わるため、変更する意思があるなら早めに決めたほうが確実です。

実際にベトナム姓へ変更する夫婦は多くない

制度としては可能ですが、日本人夫がベトナム姓に変える例は多くありません。職場での呼称、銀行口座、資格や免許の名義など、変更の影響が広範囲に及ぶためです。

仲人として相談を受けた範囲では、姓を揃えたいという希望は、次に説明する通称のほうで実現する夫婦が大半です。

ベトナム人妻が日本の姓を名乗るには通称を使う

ベトナム人妻が日本での生活で夫の姓を使いたい場合は、住民票に通称を記載してもらう方法があります。

通称は、外国人住民の住民票に記載できる氏名以外の呼称です。日本の姓を日常で使いたい場合の現実的な選択肢になります。

住民基本台帳法施行令が定める通称の要件

住民基本台帳法施行令第30条の16は、通称を「氏名以外の呼称であつて、国内における社会生活上通用していることその他の事由により居住関係の公証のために住民票に記載をすることが必要であると認められるもの」と定義しています。

手続きとしては、住所地の市町村長に申出書を提出し、あわせてその呼称が住民票に記載される必要があることを証するに足りる資料を提示します。

「申請すれば必ず記載される」わけではない

政令が資料の提示を求めていることから分かるとおり、通称は希望を出せば自動的に記載されるものではありません。市町村長が、居住関係の公証のために必要と認めたときに記載されます。

そのため、勤務先の書類や郵便物など、その呼称が実際に使われている実績を示せるかどうかが実務上の分かれ目になります。結婚した直後にいきなり申し出るより、生活の中で使われている実績を作ってから相談するほうが進みやすい傾向があります。

通称を作ると何が変わり、何は変わらないのか

項目通称を作った場合
住民票通称が記載される
在留カード変わりません(パスポートの氏名のまま)
パスポート変わりません(ベトナムの手続きの範囲)
銀行口座・クレジットカード金融機関の判断による
子どもの学校関係の書類通称で通しやすくなる
ベトナムでの姓変わりません

通称が影響するのは日本国内の生活の範囲です。ベトナム側の身分関係や、パスポート・在留カードの氏名には及びません。

ダブルネームを通称にする場合

夫の姓とベトナムの姓を組み合わせた呼称を通称にしたいという相談もあります。制度上は氏名以外の呼称であればよいため、組み合わせた呼称が排除されているわけではありません。

ただし、その呼称が社会生活上通用しているという要件は変わりません。長い呼称は書類の記入欄に収まらないなど、実務上の使いにくさも出てきます。

通称を作るべきかどうか、ご自身のケースで知りたい方は状況を伺ったうえでお答えします。

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苗字をどうするか、3つの選択肢を比べる

ベトナム人との結婚で苗字について取りうる道は、別姓のままにする・日本人側が妻の姓に変える・妻が日本の姓を通称にする、の3つです。

どれを選んでも法律上の夫婦であることに変わりはありません。生活のどこで手間を減らしたいかで選びます。

比較項目別姓のまま日本人が妻の姓に変える妻が通称を使う
手続き不要婚姻から6か月以内なら届出のみ住民票への通称記載の申出
期限なし6か月(超えると家庭裁判所の許可)期限なし
認められるか当然届出で足りる市町村長の判断による
夫の名義変更不要免許・口座・資格など広範囲に必要不要
妻の在留カード変わらない変わらない変わらない
子どもの氏日本人親の氏変更後の氏日本人親の氏
選ぶ夫婦の傾向最も多い少ない姓を揃えたい場合の現実解

実務では、別姓のままにするか、妻が通称を使うかの二択になることがほとんどです。日本人夫が姓を変える道は、制度としては開かれているものの、影響範囲の広さから選ばれにくいのが実情です。

姓を変えると名義変更が必要になるもの

日本人側が姓を変える場合、届出のあとに次のような名義変更が発生します。

  • 運転免許証、マイナンバーカード、パスポート
  • 銀行口座、クレジットカード、証券口座
  • 勤務先への届出、社会保険関係
  • 各種資格・免許の登録、賃貸契約や住宅ローンの名義

届出そのものは1日で終わりますが、付随する手続きは数か月にわたって続きます。姓を変える判断をするなら、必要な名義変更を先に書き出しておくと見通しが立ちます。

ベトナム人の名前は姓・間の名・名でできている

ベトナム人の氏名は姓と名のあいだにもう一つ名が入る構造で、日常では最後の名で呼び合う習慣があります。

苗字の話を考えるうえで、そもそもベトナムでは苗字がどう使われているかを知っておくと判断しやすくなります。

日本の「苗字で呼ぶ」感覚との違い

ベトナムでは、日常の呼びかけに使うのは名の部分です。職場でも学校でも、姓ではなく名で呼び合うのが普通です。

日本のように「田中さん」と姓で呼ぶ習慣が薄いため、姓が揃っているかどうかが日常の一体感に直結しにくいという事情があります。妻の側が姓の統一にこだわらない背景には、こうした感覚の違いもあります。

そもそも苗字を揃える必要があるのか

姓を揃えたい理由は夫婦によって異なります。子どもの学校や近所づきあいで説明の手間を減らしたい、家族としてのまとまりを感じたい、といった理由が多く挙がります。

一方で、揃えなくても不都合が生じない場面も多くあります。揃えるかどうかは、どの場面で困りそうかを具体的に挙げてから決めると納得しやすくなります。

子どもの名づけとの関係

姓と名の構造は、子どもの名前を考えるときにも関わってきます。日本とベトナムのどちらでも呼びやすい名前の考え方は国際結婚の子供の名前の考え方にまとめています。

子どもの苗字はどうなるか

日本人の父とベトナム人の母のあいだに生まれた子どもは日本人親の戸籍に入り、日本人親の氏を名乗ります。

子どもは出生によって日本国籍を取得し、日本人親の戸籍に記載されます。

出生時の扱い

出生届を出すと、子どもは日本人親の戸籍に入ります。氏は戸籍の氏、つまり日本人親の氏になります。母がベトナム国籍であっても、この点は変わりません。

ベトナム側でも出生の登録を行う場合は、ベトナムの手続きに沿った氏名の扱いになります。両国で名前の表記が異なる形になることもあります。

子どもの氏を母の姓に変える場合

戸籍法第107条第4項は、父または母が外国人である者がその父母の称している氏に変更しようとする場合について、第1項を準用すると定めています。子どもの氏を母のベトナム姓に変える場合は、家庭裁判所の許可が必要です。

日本人配偶者本人の6か月以内の届出とは扱いが異なる点に注意してください。

ベトナム側の名前をどう残すか

姓を変えなくても、ベトナムにゆかりのある名前を残す方法はあります。名の部分にベトナムでも呼びやすい音を選ぶ、家庭内での呼び名をベトナム語にするといった形です。

母方の家族との関係を保つうえで、呼び名は思っている以上に働きます。戸籍上の氏だけで考えなくてよい部分です。

なお、子どもが将来どの国籍を選ぶかという話は、姓とは別の論点です。妻自身の永住や帰化の考え方はベトナム人妻の永住権は結婚何年で取れるかで解説しています。

離婚した場合に苗字を戻せるか

6か月以内の届出で配偶者の氏に変更していた場合は、離婚・婚姻の取消し・配偶者の死亡の日から3か月以内であれば、家庭裁判所の許可なしに元の氏へ戻せます。

苗字を変える判断をするときは、戻す場合の扱いもあわせて知っておくと安心です。

戸籍法第107条第3項の期限

戸籍法第107条第3項は、第2項の届出で氏を変更した人が、離婚・婚姻の取消し・配偶者の死亡の日以後にその氏を変更の際に称していた氏に戻そうとするときは、その日から3か月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで届け出ることができると定めています。

変更のときは6か月、戻すときは3か月と期限が異なります。

3か月を過ぎた場合

3か月を過ぎると、原則に戻って家庭裁判所の許可が必要になります。日常生活が落ち着いてから考えようとすると期限が過ぎてしまうため、戻す意思があるなら早めに手続きしてください。

通称の扱いはどうなるか

通称は住民票の記載であり、婚姻関係の解消によって自動的に消えるわけではありません。通称の削除については市区町村の手続きになります。

離婚後も日本での生活を続ける場合、在留資格そのものが問題になります。在留資格についてはベトナム人配偶者ビザの取り方を参照してください。

結婚の準備から来日後の手続きまで、順番に整理したい方はお気軽にご質問ください。

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よくある質問(FAQ)

ベトナム人と結婚したら妻の苗字は自動的に日本の姓になりますか?

いいえ。国際結婚では婚姻によって当然に氏が変わることはなく、夫婦別姓が原則です。

妻に夫の姓を名乗ってもらうことはできますか?

住民票に通称として記載してもらう方法があります。ただし、その呼称が社会生活上通用していることなどを示す資料の提示が必要です。

日本人の夫がベトナム姓に変えることはできますか?

できます。戸籍法第107条第2項により、婚姻の日から6か月以内であれば家庭裁判所の許可なしに届け出られます。

6か月を過ぎてしまったらもう変えられませんか?

変更できないわけではありませんが、家庭裁判所の許可を得る手続きが必要になります。

子どもの苗字はどちらになりますか?

日本人親の戸籍に入るため、日本人親の氏を名乗ります。母のベトナム姓に変える場合は家庭裁判所の許可が必要です。

離婚したら苗字は戻せますか?

6か月以内の届出で氏を変更していた場合は、離婚等の日から3か月以内であれば許可なしで戻せます。

まとめ

ベトナム人と結婚しても苗字は自動的に変わらず、夫婦別姓が原則です。妻はベトナム国籍のままであるため、本国での姓も変わりません。

姓を揃えたい場合、日本人側がベトナム姓に変えるなら婚姻の日から6か月以内の届出、妻が日本の姓を使うなら住民票の通称という二つの道があります。実際に選ばれることが多いのは通称のほうです。

子どもは日本人親の氏を名乗り、母の姓に変える場合は家庭裁判所の許可が必要です。離婚して氏を戻す場合の期限は3か月と、変更時の6か月より短く設定されています。

婚姻届そのものの手続きはベトナム人との結婚手続きに、ベトナム国際結婚の全体像はベトナム国際結婚 完全ガイドにまとめています。

参考(一次情報)

(本記事の内容は2026年8月時点の法令にもとづきます。通称の記載可否や家庭裁判所の判断は個別の事情によります)

Supervisor

この記事の監修者

安仲 圭大アオザイブライダル代表

2021年よりベトナム・ホーチミン在住。現地で貿易を行う商社と不動産販売会社を経営し、ベトナム人仲人と日本人仲人の2名体制で、日本人男性とベトナム人女性の国際結婚をサポートしている。

執筆協力:Pham Thi Thanh Anシニアカウンセラー

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