ベトナム人妻の年金はどうなる?社会保障協定がない国との結婚
ベトナム人女性と結婚して日本で暮らし始めると、健康保険と並んで気になるのが年金です。妻は何に入るのか、将来受け取れるのか、もしベトナムに帰ることになったら払った分はどうなるのか。
本記事では、ベトナム人妻の年金をめぐる制度を、加入・将来の受給・帰国時の3つの場面に分けて整理します。数値と要件は日本年金機構が公表している内容にもとづいています。
結論から言うと、日本とベトナムのあいだには発効済みの社会保障協定がありません。この一点が、他の国との国際結婚とは違う前提を作っています。
ベトナム人妻も日本の年金制度に加入する
日本に住むベトナム人妻は、日本人と同じく公的年金制度の対象になり、国籍による区別はありません。在留資格が「日本人の配偶者等」であっても、年金の加入義務は変わりません。
夫が会社員なら第3号被保険者になれる
夫が会社員や公務員で厚生年金に加入しており、妻がその扶養に入る場合、妻は第3号被保険者になります。20歳以上60歳未満であることが前提です。
第3号被保険者であれば、妻自身が保険料を納める必要はありません。手続きは夫の勤務先を通して行います。
夫が自営業なら妻も国民年金に加入する
夫が自営業などで国民年金に加入している場合、妻も第1号被保険者として国民年金に加入し、保険料を納めます。
妻が働いて勤務先の厚生年金に入る場合は、妻自身が第2号被保険者になります。妻の就労についてはベトナム人妻は日本で働ける?にまとめています。
来日直後の納付書を放置しない
仲人として相談を受ける中でよくあるのが、来日直後に届いた国民年金の納付書を放置してしまうケースです。扶養に入る手続きが済むまでの数か月分が未納として残ります。
年金の未納は、数年後の永住申請で消極的に評価されます。永住審査で納付状況がどう見られるかはベトナム人妻の永住権は結婚何年で取れるかで解説しています。
妻の年金や保険の手続きで迷っている方は、現地とつながる仲人が個別にお答えします。
まずは公式 LINE で "無料相談"!
- 現地ホーチミン常駐の仲人が無料でお答えします
- 女性会員のプロフィールを毎日配信
- LINE 通話でのオンライン面談にも対応
友だち追加は2ステップ:ボタンをタップ → 「追加」を押すだけ
日本とベトナムには社会保障協定がない
日本が社会保障協定を発効させている国にベトナムは含まれておらず、両国の年金加入期間を通算することはできません。これが、ベトナム人女性との国際結婚に固有の前提です。
協定が発効しているのは24カ国
日本年金機構が公表している協定発効済の国は次のとおりです。
ドイツ、英国、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、中国、フィンランド、スウェーデン、イタリア、オーストリアの24カ国です。2025年12月1日にオーストリアとの協定が発効し、24カ国になりました。
この一覧にベトナムはありません。同じ東南アジアでもフィリピンは協定国であり、フィリピン人配偶者とは扱いが異なります。
協定があると何が変わるのか
社会保障協定には、保険料の二重負担を防ぐ働きと、両国の加入期間を通算して年金の受給資格につなげる働きがあります。なお、英国・韓国・中国・イタリアとの協定は保険料の二重負担防止のみです。
協定がないベトナムの場合、ベトナムで加入していた期間を日本の期間と足し合わせることはできません。日本の年金は、日本での加入期間だけで判断されます。
老齢年金の受給資格期間は10年
日本の老齢年金を受け取るには、厚生年金の加入期間などを合算して10年の受給資格期間が必要です。
妻が来日してから日本で暮らし続けるのであれば、10年は十分に到達しうる長さです。問題になるのは、10年に届かないうちに日本を離れる場合です。
帰国する場合は脱退一時金という制度がある
日本国籍を持たない人が資格を喪失して出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に脱退一時金を請求できます。受給資格期間に届かないまま帰国する場合の受け皿になる制度です。
支給要件
日本年金機構が示している国民年金の脱退一時金の支給要件は次のとおりです。
- 日本国籍を有していない
- 公的年金制度の被保険者でない
- 保険料納付済期間等の月数の合計が6月以上ある(未納期間は含まれない)
- 老齢年金の受給資格期間(10年)を満たしていない
- 障害基礎年金などの年金を受ける権利を有したことがない
- 日本国内に住所を有していない
- 最後に被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していない
6か月以上納めていることと、2年以内に請求することが実務上の要点です。
支給額の上限は60か月分
支給額の計算に用いる月数の上限は、2021年4月より36か月から60か月に引き上げられました。5年を超えて納めていても、計算に反映されるのは60か月分までです。
国民年金の脱退一時金は、最後に保険料を納付した月が属する年度の保険料額に2分の1を掛け、納付済期間に応じた数を掛けて算出します。
令和8年度の支給額
最後に保険料を納付した月が2026年4月から2027年3月の場合の支給額は次のとおりです。
| 保険料納付済期間等の月数 | 支給額計算に用いる数 | 支給額 |
|---|---|---|
| 6月以上12月未満 | 6 | 53,760円 |
| 12月以上18月未満 | 12 | 107,520円 |
| 18月以上24月未満 | 18 | 161,280円 |
| 24月以上30月未満 | 24 | 215,040円 |
| 30月以上36月未満 | 30 | 268,800円 |
厚生年金保険の脱退一時金は、これとは別の計算になります。詳細は年金事務所にご確認ください。
妻の年金の状況を整理しておきたい方は、状況を伺ってお答えします。
まずは公式 LINE で "無料相談"!
- 現地ホーチミン常駐の仲人が無料でお答えします
- 女性会員のプロフィールを毎日配信
- LINE 通話でのオンライン面談にも対応
友だち追加は2ステップ:ボタンをタップ → 「追加」を押すだけ
脱退一時金を受け取ると期間が消える
脱退一時金を受け取ると、その期間は年金の加入期間ではなくなるため、将来日本で年金を受け取る可能性を手放すことになります。金額だけを見て判断すると、後から取り返しがつきません。
日本に戻る可能性があるなら慎重に
いったん帰国しても、数年後に日本へ戻ってくる夫婦はいます。脱退一時金を受け取っていなければ、以前の加入期間はそのまま残ります。
帰国が一時的なものか、生活の拠点を移すものかで、判断は変わります。迷う場合は、請求できる期間が2年あることを踏まえて、すぐに決めない選択もあります。
受給資格期間に近いなら受け取らない選択
10年の受給資格期間に近づいている場合、脱退一時金を受け取ると、それまで積み上げた期間が無駄になります。
日本で長く暮らしてきた妻ほど、この判断は慎重にすべきです。年金記録は年金事務所で確認できます。
永住や帰化を考えているなら関係が薄い
そもそも脱退一時金は、日本国内に住所を有していないことが要件です。永住して日本で暮らし続けるのであれば、受け取る場面はありません。
永住を視野に入れているなら、脱退一時金より納付を続けることのほうが重要になります。
老後をどこで過ごすかという話につながる
年金の話は、最終的に夫婦がどこで老後を過ごすのかという選択に行き着きます。制度の細部より、方針が決まっているかどうかのほうが影響が大きくなります。
日本で暮らし続ける場合
妻が日本で暮らし続けるなら、受給資格期間を満たして日本の年金を受け取る形が基本です。第3号被保険者の期間も受給資格期間に算入されます。
夫が先に亡くなった場合の遺族年金についても、日本に住んでいれば日本の制度の対象になります。
ベトナムに戻る可能性がある場合
老後にベトナムへ移る選択をする夫婦もいます。日本の年金は、受給資格を満たしていれば海外にいても受け取れます。
ただし手続きや受け取り方は国内在住の場合と異なります。方針が固まってきた段階で、年金事務所に確認してください。
夫婦で早めに話しておく
老後をどこで過ごすかは、年金だけでなく住まいや家族との距離にも関わります。妻の実家との付き合い方はベトナム人妻の里帰りはどれくらい?、住まいの選択は国際結婚で住宅ローンは組める?にまとめています。
よくある質問(FAQ)
ベトナム人妻も年金に入る必要がありますか?
日本に住んでいれば公的年金制度の対象になります。国籍による区別はありません。
夫の扶養に入れば妻の保険料はかかりませんか?
夫が厚生年金に加入していて妻がその扶養に入る場合、妻は第3号被保険者となり、妻自身の保険料負担は生じません。
ベトナムでの加入期間は日本の年金に足せますか?
日本とベトナムのあいだに発効済みの社会保障協定がないため、加入期間を通算することはできません。
帰国したら払った保険料はどうなりますか?
要件を満たせば脱退一時金を請求できます。日本に住所を有しなくなった日から2年以内という期限があります。
脱退一時金はいくらもらえますか?
納付済期間に応じて決まります。令和8年度は6か月以上12か月未満で53,760円、30か月以上36か月未満で268,800円です。計算に用いる月数の上限は60か月です。
脱退一時金を受け取ると損をしますか?
受け取るとその期間は年金加入期間ではなくなります。日本に戻る可能性や受給資格期間との兼ね合いで判断してください。
まとめ
日本に住むベトナム人妻は、日本人と同じく公的年金制度の対象になります。夫が会社員で扶養に入るなら第3号被保険者となり、妻自身の保険料負担は生じません。
他の国との国際結婚と大きく違うのは、日本とベトナムのあいだに発効済みの社会保障協定がない点です。協定発効済の24カ国にベトナムは含まれておらず、ベトナムでの加入期間を日本の期間と通算することはできません。
帰国する場合は脱退一時金を請求できますが、受け取るとその期間は年金加入期間ではなくなります。日本に戻る可能性や、10年の受給資格期間との距離を踏まえて判断してください。
来日直後の未納は、数年後の永住申請にも響きます。国際結婚の全体像はベトナム国際結婚 完全ガイドにまとめています。
結婚後の生活設計を相談したい方は、お気軽にご質問ください。
まずは公式 LINE で "無料相談"!
- 現地ホーチミン常駐の仲人が無料でお答えします
- 女性会員のプロフィールを毎日配信
- LINE 通話でのオンライン面談にも対応
友だち追加は2ステップ:ボタンをタップ → 「追加」を押すだけ
参考(一次情報)
- 日本年金機構「社会保障協定」 https://www.nenkin.go.jp/service/shaho-kyotei/shaho.html
- 日本年金機構「脱退一時金の制度」(2026年4月1日更新) https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/sonota-kyufu/dattai-ichiji/20150406.html
(本記事の内容は2026年8月時点の公表内容にもとづきます。金額や制度は改正されることがあり、個別の見込みは年金事務所にご確認ください)
Supervisor
この記事の監修者
安仲 圭大(アオザイブライダル代表)
2021年よりベトナム・ホーチミン在住。現地で貿易を行う商社と不動産販売会社を経営し、ベトナム人仲人と日本人仲人の2名体制で、日本人男性とベトナム人女性の国際結婚をサポートしている。
執筆協力:Pham Thi Thanh An(シニアカウンセラー)
運営情報・代表プロフィールを見る →