ベトナムの結婚式の流れ|婚約式から披露宴までの4段階と日数
ベトナム人女性との結婚が決まり、現地で式を挙げることになると、何がどの順番で進むのかが気になります。日本の結婚式とは段取りがまったく違うため、想像がつかないという方がほとんどです。
本記事では、ベトナムの結婚式を4つの段階に分けて、それぞれで何が行われ、日本人の新郎が何をするのかを整理します。あわせて、地域によって作法が正反対になる部分にも触れます。
段取りを完璧に覚える必要はありません。ただし、地域による違いだけは先に知っておかないと、彼女の家族に気を遣わせることになります。
ベトナムの結婚式は4つの段階で進む
ベトナムの結婚式は、顔合わせ・婚約式・花嫁を迎える儀式・披露宴という4つの段階に分かれています。日本のように「結婚式」という一日の行事があるのではなく、家族同士の関係を積み上げていく一連の儀式として組まれています。
4段階を一覧で確認する
| 段階 | ベトナム語 | 読み方 | 主な参加者 | 場所 |
|---|---|---|---|---|
| 1. 顔合わせ | lễ dạm ngõ | レー ザム ゴー | 両家の近親者のみ | 新婦の家 |
| 2. 婚約式 | lễ ăn hỏi | レー アン ホイ | 両家の親族 | 新婦の家 |
| 3. 花嫁を迎える儀式 | lễ rước dâu | レー ズオック ザウ | 両家の親族 | 新婦の家 |
| 4. 披露宴 | tiệc cưới | ティエック クオイ | 親族・友人・同僚・近所 | レストラン、ホテル、自宅前 |
1から3までは新婦の家で行われる家族中心の儀式で、4だけが大人数を招く公の場です。日本人が想像する「結婚式」は、4段階目にあたります。
日本の結婚式は4段階目にあたる
日本の披露宴を思い浮かべて渡航すると、1から3の儀式に驚くことになります。先祖の祭壇に線香を上げ、両家の代表が向かい合って口上を述べる場面が続くためです。
儀式の重心が家族と先祖にあることを知っておくと、当日の緊張がかなり減ります。
どこまでやるかは家庭によって違う
4段階すべてを行う家庭もあれば、1段階目を省いて婚約式から始める家庭もあります。都市部では簡略化が進み、地方では伝統的な形を守る傾向があります。
何をどこまでやるかを決めるのは彼女の家族です。日本側から段取りを提案する必要はありません。
彼女の家族との段取りをどう進めればよいか分からないという方は、現地の仲人が個別にお答えします。
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第1段階 顔合わせ(lễ dạm ngõ)
最初の段階は両家の顔合わせで、新郎の家族が新婦の家を訪ね、結婚に向けて話を進める許可を求めます。正式な婚約ではなく、両家が知り合うための場という位置づけです。
参加するのは近親者のみ
出席するのは両家の近親者だけで、規模はごく小さくなります。新婦の家の居間で、お茶を飲みながら話をするような雰囲気です。
日本の結納と比べると、はるかに肩の力が抜けた集まりになります。
持って行くもの
新郎の家族は、ささやかな贈り物を持参します。キンマの葉とビンロウの実(trầu cau/チャウ カウ)、果物、お茶などが一般的です。
キンマとビンロウは、ベトナムの婚礼で永遠の絆を象徴する組み合わせとして、どの段階にも登場します。
日本人の新郎がここでやること
この段階で求められるのは、丁寧なあいさつと、家族の話を聞く姿勢です。日本から両親が同行できない場合も珍しくありません。
家族への挨拶の作法はベトナム人女性の親・家族への挨拶マナーにまとめています。服装や手土産の考え方はそちらをご覧ください。
第2段階 婚約式(lễ ăn hỏi)が最大の山場
婚約式は正式に婚約を成立させる儀式で、新郎の家族が結納盆を持って新婦の家を訪ねます。4段階の中で、最も儀式らしい儀式です。日本人にとっては見慣れない場面が続きます。
結納盆を運ぶのは新郎側の未婚男性
結納盆はベトナム語で mâm quả(マム クア)または tráp(チャップ)と呼ばれます。装飾された盆に贈り物を載せ、赤い布をかけて運びます。
盆を運ぶ役は新郎側の未婚の男性が務め、新婦側の未婚の女性が受け取ります。新郎本人は運ばず、家族とともに行列に加わるのが一般的です。
盆の中身
盆に載せる品には、それぞれ意味があります。よく使われる構成は次のとおりです。
| 盆の中身 | 意味・補足 |
|---|---|
| キンマの葉とビンロウの実 | 永遠の絆の象徴。ビンロウは房のまま用意することもある |
| 茶・酒 | 先祖への供え物 |
| 龍と鳳凰のろうそく | 先祖の祭壇に供える。南部では必須とされる |
| 菓子または蓮の実 | 婚約を知らせるために配ることもある |
| 果物 | |
| 焼き豚または焼き鶏 | |
| xôi gấc(赤いおこわ) | 赤は幸運の色 |
| 新婦への衣類・宝飾品 | 余裕があれば加える |
盆には蓋をして赤い布をかけます。赤は幸運と幸福を表す色として、婚礼の随所に使われます。
両家のスピーチと先祖への拝礼
儀式では、両家の代表者が向かい合ってスピーチを交わします。新郎の家族が正式に結婚を申し入れ、新婦の家族がそれを受け入れるという形です。
そのあと、二人は線香を灯し、新婦側の先祖の祭壇に向かって拝礼します。ベトナムの婚礼で最も重要な場面のひとつです。
婚約を知らせる菓子配り
婚約式のあと、新婦の家族は受け取った菓子の一部を近所や親戚に配ります。婚約が成立したことを知らせる役割を持っています。
日本の結納にはない習慣ですが、地域社会の中で結婚が承認されていく過程だと考えると分かりやすくなります。
結納盆の数は北部と南部で正反対
結納盆の数は、北部では奇数、南部では偶数と決まっており、地域を取り違えると縁起が悪いとされます。日本語で書かれた解説の多くは北部の慣習を紹介しています。彼女の実家が南部なら、そのまま真似すると逆になります。
北部は奇数、南部は偶数
| 項目 | 北部 | 南部 |
|---|---|---|
| 盆の数 | 奇数(1, 3, 5 … 9, 11) | 偶数(4, 6 … 10, 12) |
| 考え方 | 奇数は陽の数とされ、繁栄を表す | 奇数を忌み、偶数で揃える |
| 盆の中の品 | 偶数・対で揃える | 偶数・対で揃える |
| 原則の呼び方 | 外は奇数、中は偶数 | 数はすべて偶数 |
北部には「外は奇数、中は偶数」という原則があり、盆そのものの数は奇数にしながら、中に入れる品は対で揃えます。南部では盆の数も中身も偶数にします。
ホーチミンで式を挙げるなら偶数で揃える
ホーチミンで仲人をしていると、日本で下調べをしてきた男性が「盆は奇数がよいと読んだ」と話す場面があります。南部の家庭ではその逆です。
調べた知識より、彼女の実家がどの地域の流儀で進めるかを確認するほうが確実です。実務では、盆の数も中身も新婦側の家族が指定してくるため、日本人の新郎が自分で決める場面はほとんどありません。
人数まで偶数にする南部の慣習
南部では、新郎側から新婦宅へ向かう人数も偶数にするとされています。当日の同行者が急に増減すると、この数が崩れます。
誰が同行するかは早めに確定し、彼女の家族に伝えておいてください。
彼女の実家がどちらの流儀か確認しておきたい方は、状況を伺ってお答えします。
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第3段階 花嫁を迎える儀式(lễ rước dâu)
披露宴の前に新郎が新婦の家へ迎えに行き、先祖の祭壇に拝礼してから花嫁が家を出ます。花嫁が実家を離れる区切りの儀式で、家族にとっては感情の動く場面です。
花束を渡し、先祖供養を行う
新郎は家族や親族とともに新婦の家へ向かいます。行列の先頭は花で飾った車になることがあります。
到着すると新郎が花嫁に花束を渡し、両家がそろって先祖供養の儀式を行います。二人はろうそくを灯し、線香を供え、拝礼して祝福を求めます。
新婦の両親からの言葉と贈り物
儀式の中で、新婦の両親が娘と義理の息子に向けて言葉をかけることがあります。あわせて、母から娘へ宝飾品が贈られる場面も見られます。
言葉の内容が分からなくても、姿勢を正して聞いていれば十分です。あとで彼女に訳してもらってください。
門を塞がれたら赤い封筒を渡す
儀式が終わり花嫁が家を出るとき、新婦の年下のきょうだいや親戚の子どもが戸口をふさぐことがあります。新郎が赤い封筒(lì xì/リー シー)に少額のお金を入れて渡し、通してもらう慣習です。
初めて経験する日本人はうろたえますが、遊びの要素を含んだ場面です。小額の紙幣を入れた赤い封筒を数枚、あらかじめポケットに用意しておくと落ち着いて対応できます。金額は数万ドン程度で構いません。
第4段階 披露宴(tiệc cưới)
披露宴は最も規模が大きく、新郎新婦が入口に立ってゲストを迎えるところから始まります。ここでようやく、日本人が想像する結婚式らしい場面になります。
入口での出迎えと芳名帳
新郎新婦は、アオザイまたはウェディングドレスとスーツを着て入口に立ち、到着したゲストを迎えます。ゲストは芳名帳に署名し、赤い封筒に入れた現金を装飾された箱に入れます。
出迎えの時間は長く、立ちっぱなしになります。靴は履き慣れたものを選んでください。
進行の大枠
披露宴では、新郎新婦の入場、ケーキ入刀、シャンパンタワー、両家のあいさつ、テーブルごとの乾杯などが行われます。料理は大皿を取り分ける形式が中心です。
日本の披露宴ほど進行は厳密ではなく、乾杯・写真撮影・会話が同時に進みます。
参列者側の作法は別記事へ
ゲストとして呼ばれた場合の服装やご祝儀の目安はベトナムの結婚式の服装とご祝儀にまとめています。日本から親族を連れて行く場合の準備もそちらで解説しています。
全体で何日かかるのか
南部では婚約式と花嫁を迎える儀式を同じ日に続けて行うことが多く、北部では別の日に分けるため期間が長くなります。「何日かかるか」は、彼女の実家がどの地域にあるかでまったく変わります。
地域別の日数の目安
| 地域 | 進め方 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 南部(ホーチミンなど) | 婚約式と花嫁を迎える儀式を同日に続けて行うことが多い | 1日に集約されることが多い |
| 北部(ハノイなど) | 婚約式と結婚式を別の日に行うことが多い | 数週間から数か月空くことがある |
| 中部 | 質素で、先祖供養の比重が大きい | 家庭による |
| 地方全般 | 伝統的な形を守る | 2〜3日かけることがある |
南部は規模が大きく華やかな一方、時間と費用を抑えるために儀式をまとめる傾向があります。北部は形式を重んじ、しきたりに沿って丁寧に進めます。
縁起の良い日を選ぶため間隔が空くことがある
ベトナムでは、婚礼の日取りを縁起の良い日から選びます。特に北部では、良い日を待つために儀式の間隔が数か月空くこともあります。
日本側の都合で日程を決められると考えないでください。日取りは新婦側の家族が中心になって決めます。
挙式に適した時期は9月から3月
ベトナムでは、雨季を避けた9月から3月ごろに結婚式が多く行われます。日本の6月の花嫁にあたる習慣はありません。
気候と服装についてはベトナムの服装と持ち物も参考になります。
日本から渡航する場合の日程の組み方
儀式が複数日にわたる場合、日本から何度も往復するのは現実的ではありません。まとまった休みを取り、前後に余裕を持たせる形が基本になります。
成婚までに何回渡航するかの目安はベトナム国際結婚は成婚まで何回ベトナムに行くかにまとめています。
日本人の新郎が各段階でやることまとめ
日本人の新郎に求められるのは、段取りを覚えることより、指示に素直に従い、家族への敬意を示すことです。儀式の進行は新婦側の家族と親族が取り仕切ります。新郎が主導する場面はほとんどありません。
段階ごとの役割一覧
| 段階 | 新郎がやること |
|---|---|
| 顔合わせ | あいさつ、手土産、家族の話を聞く |
| 婚約式 | 家族とともに行列に加わる、スピーチの場で姿勢を保つ、先祖の祭壇に拝礼する |
| 花嫁を迎える儀式 | 花束を渡す、拝礼する、赤い封筒を用意しておく |
| 披露宴 | 入口でゲストを迎える、テーブルを回ってあいさつする |
覚えておくべき実務は、赤い封筒を用意することと、同行者の人数を早めに確定することの2つだけです。あとは当日その場で指示があります。
費用の分担はどう決まるか
費用の目安や誰が何を負担するかは、ベトナム現地での結婚式費用・相場にまとめています。結納金についてはベトナム人女性との国際結婚の結納金をご覧ください。
通訳と進行をどうするか
儀式の最中、花嫁は自分の家族の対応で動きます。新郎のそばに通訳として付いていられるとは限りません。
彼女の親族に日本語や英語が分かる人がいるかを事前に確認してください。難しい場合は、要所だけ後から説明してもらう前提で臨むほうが気が楽になります。
よくある質問(FAQ)
ベトナムの結婚式は何日かかりますか?
南部では1日に集約することが多く、地方では2〜3日、北部で儀式を別の日に分ける場合は数週間から数か月に及ぶこともあります。
結納盆はいくつ用意すればよいですか?
北部は奇数、南部は偶数が原則です。ただし数を決めるのは新婦側の家族なので、彼女の実家の地域と考え方を確認してください。
婚約式と結婚式は別の日に行うのですか?
北部では別の日に行うことが多く、南部では同じ日に続けて行うことがより一般的です。
日本人の新郎も結納盆を運ぶのですか?
盆を運ぶ役は新郎側の未婚の男性が務めるため、新郎本人は運ばないのが一般的です。
花嫁の家を出るときに封筒を求められるのはなぜですか?
新婦の年下のきょうだいなどが戸口をふさぎ、新郎が赤い封筒を渡して通してもらう慣習です。遊びの要素を含んだ場面で、金額は少額で構いません。
結婚式に適した時期はいつですか?
雨季を避けた9月から3月ごろに行われることが多くなっています。
まとめ
ベトナムの結婚式は、顔合わせ・婚約式・花嫁を迎える儀式・披露宴の4段階で進みます。1から3は新婦の家で行う家族中心の儀式で、日本人が想像する結婚式は4段階目にあたります。
最も注意したいのが結納盆の数です。北部は奇数、南部は偶数と正反対で、日本語の解説記事の多くは北部基準で書かれています。彼女の実家がどちらの流儀かを必ず確認してください。
新郎が自分で準備すべきものは多くありません。赤い封筒を数枚用意することと、同行者の人数を早めに確定することの2つを押さえておけば十分です。
ベトナム国際結婚の全体像はベトナム国際結婚 完全ガイドにまとめています。
ベトナムでの式の段取りを相談したい方は、お気軽にご質問ください。
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参考
- Ngôi sao(VnExpress)「Khác biệt trong mâm quả hai miền Nam - Bắc」 https://ngoisao.vnexpress.net/khac-biet-trong-mam-qua-hai-mien-nam-bac-2643121.html
- Vietnamese Notes「ベトナムの結婚式の風習」 https://vietnamesenotes.app/ja/culture/a2/wedding-customs
(本記事の内容は2026年8月時点の情報にもとづきます。儀式の進め方や作法には地域差・家庭差があります)
Supervisor
この記事の監修者
安仲 圭大(アオザイブライダル代表)
2021年よりベトナム・ホーチミン在住。現地で貿易を行う商社と不動産販売会社を経営し、ベトナム人仲人と日本人仲人の2名体制で、日本人男性とベトナム人女性の国際結婚をサポートしている。
執筆協力:Pham Thi Thanh An(シニアカウンセラー)
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