国際結婚を考えている日本人男性に知ってほしいベトナムの宗教観

日本の場合、仲人がいて、お見合いが一般的な伝統的婚姻儀式のある時代は、宗教はかなり関係がありました。結婚は宗教と深いつながりを持っています。ベトナムでも同じで、東南アジアでも宗教は、かなりの関係があります。ベトナム女性と交際、デートなどをして、カップルになれば、今後の結婚を理解するのに、その国の宗教を知っておくと、とても役にたちます。

ベトナムの仏教

ベトナムはアジアの歴史上でも、基本的には仏教の国です。中国の直接的、間接的統治の時代を含めて、ベトナムの仏教が中国に大きく影響を受けてきました。ベトナムの仏教は、日本や朝鮮半島と同じように、大乗仏教がメインです。大乗仏教とは、ユーラシア大陸の中央から東部で信仰されていた仏教の宗派で、出家者だけでなく在家の者でも救済されるとする仏教宗派のことです。

道教の影響も大きく受けています。道教とは、中国の儒教、仏教、道教の一つで、中国漢民族の宗教です。老子の思想を基礎として、さらに不老長生の神仙術や、仏教の影響でつくられた経典、儀礼など、いろいろな宗教が混ざった宗教とされています。いずれにしろ、宗教は、中国の影響を大きく受けています。

最近は、カオダイ教やホアハオ教などの仏教系の新宗教もできています。1944年には南部で、上座部仏教的要素を取り入れた乞士派いう派ができています。1976年、ベトナム南北統一から5年後、ベトナム共産党政権が公認で全国仏教組織のベトナム仏教会ができました。統一ベトナム仏教教会は、1964年にベトナム共和国サイゴン舎利寺でできた超宗派団体です。サイゴンの陥落後は財産が没収されました。1981年にベトナム仏教会設立時に指導者の多くがこの団体に参加して、現在に至ります。

ベトナムのカトリック

17世紀にフランスから宣教師のアレクサンドル・ドゥ・ロードが派遣されて、6000人を超えるベトナム人を洗礼しました。19世紀に、フランスの植民地化が始まると、カトリック教会は国家で擁護されました。20世紀後半の冷戦時代、社会主義の北部方面から逃げてきたカトリック教徒は、南ベトナムに移り住みました。アメリカはベトナム南部に資本主義の国家としてベトナム共和国をつくり、初代の大統領としてゴ・ディン・ジエムが就任。その政権のもと、南ベトナムはカトリック教中心主義をすすめました。軍隊の将校や官僚の上層部はカトリック教徒が占めて、カトリック教は、土地政策や税制で優遇を受けました。1959年、ゴ・ディン・ジエムは南ベトナムを聖母マリアに捧げることを宣言。公的なイベントでは、バチカンの旗が掲げられ、カトリック教会が国で最大の地主となりました。共産主義国家となったので、公式には宗教は否定されていますが、教会の活動は続けられています。

ビーガン

仏教徒、イスラム教徒、ヒンドゥー教徒、カオダイ教徒などのベトナム人の一部の人は、肉食を食べないようにしています。ベトナムにおいては、このように、宗教の理由以外でも、衛生や汚染などの心配から、ビーガンとなる人も増えています。ベトナムでは、肉の代わりに大豆、豆腐やキノコなどを使ったビーガン料理を出すお店が何軒もあります。その中には、普通のカフェで、ランチタイムにビーガンビュッフェを出すお店もあります。ベトナムでは、完全な菜食主義者ではない人でも、旧暦1日、旧暦14日、旧暦15日や旧暦30日には、動物の肉類を食べない習慣があります。1か月に4回、肉を食べない日があることになります。しかし、この日が終われば、肉を含めた食事を、思いっきり食べてもよい習慣があります。もし、食事会や飲み会に、お誘いするのであれば、肉食ができない日は避けて、その日が過ぎた時期にお誘いするようにします。ベトナムでは、無宗教の人がほとんどですが、無宗教の中にも仏教を信仰する人が多くいます。 日本人と同じように、ほとんどの人が、日常的、習慣的に仏教行事に参加しています。

新興宗教のカオダイ教

1926年に発足したベトナムの新興宗教です。仏教、キリスト教やイスラム教に、儒教と道教を加えた5つの宗教を混ぜたような混合宗教となっています。小説家のヴィクトル・ユーゴーや哲学者のソクラテスが崇拝の対象人物となっています。ホーチミンから北西へ約100kmのタイニン省ホアタインに総本山があります。信徒数は約100万から300万とされていて、かなりの信者がいます。タイニン省の人口の70%がカオダイ教の信者と言われています。カオダイとは、ベトナムの道教の最高神玉皇上帝のことで、総本山の教会堂の祭壇中央に信者を見下ろして、置いてある目玉は、カオダイの神の目とされています。これは、天眼と呼ばれていて「宇宙の原理」「宇宙の至上神」の象徴となっています。この目玉がカオダイ教のシンボルマークにもなっています。教義は、キリスト教的で、聖職者の階級制度があるカトリックと似ており、古来の精霊崇拝の雰囲気もあります。孔子、老子、お釈迦様、観音菩薩、キリスト、ムハンマド、李白、老子、ソクラテス、トルストイ、ヴィクトル・ユーゴーなどを崇拝しています。ファン・コン・タックという人が教祖として祀られています。タックはキリスト教徒で、仏教、儒教、老教、キリスト教に神道をいっしょにして、世界の救済を行ったとされています。総本山の建物は南国的で、色彩鮮やかな外観で、内部にはネオンが囲む祭壇は派手な雰囲気になっています。信徒は白色のアオザイを着て、日に4回の礼拝を行います。