昔から受け継がれているベトナムの婚約式・結婚式のスタイル

ベトナムの伝統と現代の結婚

日本の調査(2019年)によると、ベトナムの人口は約9,600万人です。人口については、世界で15位となり、東南アジアでは3位となっています。ベトナムにおける婚姻率は66.9%です。77.5%の人が結婚をしていることになります。婚姻率は地方の農村部の方が高くなっており、65.6%となっています。ハノイやホーチミンなどの都市部では34.4%となっています。ベトナムの平均年齢は31歳で、若い人の多い国です。

ベトナムでは伝統が強く残る地方の農村部での婚姻率が高く、ベトナムの結婚をけん引しています。

特に、ベトナムの地方では、早く結婚したほうがよいという風潮があります。早婚が多く、20歳代前半で結婚しているという人が地方の農村部を中心に、多くいます。地方の農村部では、伝統的に早く子供が欲しいという考えがあるためですが、実際のところ、結婚の当事者である本人よりも、両家の親や家族、親類からの「早く孫を」という圧力が強いためと言われていて、古い伝統が関係しているものと思われます。

ベトナムの伝統的な結婚式

ベトナムの結婚式は、式場で行なう場合と、実家でおこなう場合の2種類があり、ハノイやホーチミン、ダナンなどの大都市では、結婚式場で行われる場合が多くなっています。一方で、地方などの田舎においては、実家で行う伝統的な結婚式が今も行われています。

婚約式(結納式)

ベトナムの伝統的な結婚式では、結婚前に両家の顔合わせを行う婚約式(結納式)が行われます。花嫁の家に、花婿と花婿の家族が結納品を持って訪問します。婚約の品物としては、「パーン」というキンマの葉とビンロウジュの実で作った食べ物やお菓子、ワインやビールなどの酒類、その他食べ物、果物、ケーキ等などです。贈り物の数も縁起がよいとされている5つ、7つ、9つに揃えます。

婚約式(結納式)が終わったら

婚約式が終了したら、二人は夫婦になることが認められます。そして、婚約式で持ってきてもらったパーンを親戚や友達、近所に渡す習慣があります。

結婚式・披露宴

婚約式の2週間から1ヶ月後くらいに結婚式(挙式)や披露宴を行います。婚約式のすぐ後に結婚式を行う場合も最近はあります。一般的に、結婚式は2日間かけて、花婿と花嫁のそれぞれの(新郎新婦の)実家で行われます。 1日目は、花婿と花嫁がそれぞれ自分の実家で、親戚やご近所、友達等を誘って宴会をします。

1日目の夜に花婿や友達たちが花嫁の実家に行って、カラオケやダンスをして盛り上がります。2日目は花婿や出席者が、花嫁を実家に迎えに行って、正式に花嫁を家族とすることを伝えてから結婚式が始まります。

結婚式の内容は、祖先に祈りをささげて、花婿の代表者が正式に結婚することを宣言、指輪を交換し、ケーキ入刀、花婿、花嫁の家族といっしょに乾杯、カラオケなどがあります。

伝統的なベトナムの結婚式では、家族や親せきが多くの食事を準備したり、会場の演出などを含めて、準備などを行う必要がありますので、本人や家族にとって大変な行事でもあります。

このように、2日かけて行われることが多いようです。1日目は夕方から宴会。2日目はお昼から開始で、宴会で、メインの披露宴となります。自宅が披露宴会場で、豪華な装飾をする家も多くあります。度数の高い自家製酒で何度も乾杯したりします。ひまわりの種とお酒やお茶を楽しみながらベトナムの歌を歌ったり、みんなで会話を楽しみます。出前の歌手を読んで、ベトナム音楽が歌われることもあります。

キンマの葉とビンロウは結婚式に必要な物と考えられています。赤色の紙で包みます。赤色は幸運をもたらすとされています。豚一匹を新婦の家まで運び、丸焼きにして、ふるまうということもあります。

新郎新婦は仏壇の前で先祖から婚礼の承認をもらう祈り、祈りが終わると、指輪を交換します。そして、新郎または新婦が家族を紹介します。これで新郎新婦は義理の家族の正式な一員になります。

ビンロウ(ビンロウジュ 檳榔樹)は、東南アジアに分布する常緑高木です樹高10~20mになります。ビンロウの果実を、石灰、キンマの葉といっしょに噛むという風習があります。ベテル・チューイングと呼ばれ、軽い覚醒作用と清涼感があるらしいです。

キンマ(コショウ科)は、常緑多年草で、葉は心形で表面にはつやがあります。白い小さな花をつけます。東南アジアでは、葉を薬用につかいます。健胃、去痰、殺菌剤などです。また、頭痛、関節の痛みや歯痛を和らげるのに使います。

ベトナムでは、カラオケが日本以上に人気があります。披露宴でも人気で、ウエディングドレスで、花嫁も歌うほどです。日本語の歌で、ベトナムで人気の高い曲8選としては、川の流れのように(美空ひばり)、恋人よ(五輪真弓)、恋人も濡れる街角(中村雅俊)、愛人(テレサ・テン)、ルージュ(ちあきなおみ)、未来飛行(徳永英明)、蒼いうさぎ(酒井法子)、もう恋なんてしない(槇原敬之)と思います。