【結論】「ベトナムで国際結婚は禁止」は本当?――禁止されるケース/できるケースを最新ルールで整理

「ベトナム 国際結婚 禁止」と検索すると、不安になる情報が出てきます。
でも結論から言うと、ベトナムが国際結婚(外国人との結婚)を一律に禁止している事実はありません。ベトナム法は国際結婚を認めたうえで、“禁止される結婚” と “手続き不備で通らない結婚” をはっきり分けている、というのが実態です。

この記事では、噂に振り回されずに判断できるように、**「何が禁止なのか」「なぜ禁止と誤解されるのか」「通すために何を準備すべきか」**を、根拠条文ベースでわかりやすく解説します。


この記事で分かること

  • 「ベトナムで国際結婚は禁止」説が出る理由
  • 法律上“禁止”される結婚(アウトの条件)
  • 禁止ではないが“通らない”典型パターン(書類・手続きミス)
  • 2025年の手続き変更ポイント(窓口の変更など)
  • すぐ使えるチェックリスト

なぜ「国際結婚は禁止」と誤解されるのか?(よくある3パターン)

1) “禁止”ではなく「審査・確認が厳しい」=結果的に止まる

ベトナムでは、結婚は登録(婚姻登録)しないと法的に無効です。
国際結婚の場合、偽装結婚や人身売買などを防ぐ目的で、書類の真正性や交際実態の確認が厳しくなりやすく、途中で差し戻し→「禁止された」と感じるケースが起きます。

2) 他国側の規制が“ベトナムが禁止した”と混同される

過去には「韓国で年齢差の大きい国際結婚を制限」など、相手国側の制度変更が話題になったことがあり、これが一部で“ベトナムが禁止”と誤解されがちです。

3) “国際結婚そのもの”ではなく「特定の条件がNG」

ベトナム法は、国際結婚を認めつつ、偽装・強制・重婚・近親婚などを明確に禁止しています。ここを知らないと「外国人だから禁止なのでは?」と誤解しやすいです。


【法律上アウト】ベトナムで“禁止される結婚”はこれ

ベトナムの家族・婚姻法(2014年)では、結婚の条件(できる条件)と、禁止行為(やったらアウト)を明確に定めています。

1) 偽装結婚(ビザ目的など)

**「家族をつくる目的ではなく、移住・在留・国籍取得などの目的で結婚を利用する」**のは、禁止行為です。

2) 未成年婚・強制結婚・だまし婚

年齢条件を満たさない結婚(未成年婚)や、脅し・強要・詐欺的な結婚は禁じられています。

3) 重婚(どちらかが既婚)

既婚者が別の相手と結婚する、または既婚者と結婚することは禁じられます。

4) 近親婚(一定範囲の親族)

直系血族、三代以内の親族、養親子関係など、一定の関係は結婚禁止です。

5) 同性婚は“結婚としては認めない”

ベトナム法は、同性婚を法的な「婚姻」としては認めないと定めています。


【条件を満たせばOK】ベトナムで国際結婚できる基本条件

結婚できる条件はシンプルで、主に以下です。

  • 男性20歳以上、女性18歳以上
  • 当事者の自由意思(強制ではない)
  • 判断能力(民事行為能力)に問題がない
  • 上の「禁止行為」に該当しない

さらに国際結婚では重要ポイントがもう1つあります。

「双方の国の婚姻要件」+(ベトナムで登録するなら)ベトナム要件も必要

ベトナム人×外国人の結婚は、原則として双方それぞれ自国法の婚姻要件を満たす必要があり、ベトナムの機関で婚姻登録する場合は外国人側もベトナム法の要件を満たす必要があります。


【禁止ではない】でも“通らない”典型パターン(現場で多い)

ここが一番つまずきやすいです。「禁止」ではなく、書類・手続きが要件を満たしていないだけで止まります。

1) 婚姻登録していない(=法的に無効)

ベトナムでは、登録されない結婚は法的に無効と明記されています。
写真撮って式を挙げた=結婚成立、ではありません。

2) 独身証明・婚姻要件の証明が不足している

特に多いのが「独身の証明が足りない」「発行からの期限が切れている」「翻訳・認証が不備」のパターンです。
(参考:在日ベトナム大使館の案内でも、独身証明や未受理証明、居住証明などの提出が細かく指定されています。)

3) 書類の翻訳・公証・領事認証(合法化)が不完全

国際結婚は“紙の戦い”になりがちで、翻訳の体裁、認証手順、コピーの扱いなどの小さなズレで差し戻しが起きます。

4) 短期滞在(観光)など、手続き上不利な滞在資格

国や窓口により運用差はありますが、短期滞在だと手続きが進みにくいケースがあります。実際、在日ベトナム大使館の案内では「短期滞在(旅行)で来日中の人は手続き対象外」と明記されています。


【2025年の重要変更】婚姻登録などの窓口が「郡(区)」→「社・坊」へ(7/1〜)

以前は、外国要素のある戸籍手続き(国際結婚など)は、原則として郡(区)レベルの人民委員会が担当する仕組みが法律上示されていました。

しかし2025年の制度変更で、2025年7月1日から、戸籍手続きの権限が社・坊(コミューン/区)レベルに移管される旨が整理されています(国際結婚を含む戸籍手続き全般の権限移管)。

実務では地域差が出やすいので、申請前に「どこの人民委員会が窓口か」を必ず確認すると、無駄足が減ります。


失敗しないためのチェックリスト(これだけ押さえる)

A. 法律的にアウトにならないか(最優先)

  • どちらも未婚(離婚済なら正式に完了している)
  • 年齢条件を満たす(男20/女18)
  • 強制・偽装に見える要素を排除(説明できる交際経緯・証拠)

B. “書類不備で止まる”を潰す

  • 独身証明/婚姻要件具備の証明がそろっている(期限も確認)
  • 翻訳→公証→領事認証(必要な場合)の順番を間違えない
  • 名前表記(パスポート表記)を全書類で統一

C. 手続き設計(どこで先に結婚するか)

  • 日本で先に婚姻届 → ベトナム側で記録(手続きが別で発生)
  • ベトナムで先に婚姻登録 → 日本側へ届出
    どちらが早いかは、居住地・在留資格・書類の取りやすさで変わります。

よくある質問(FAQ)

Q1. ベトナム政府が国際結婚を禁止したことはある?

少なくとも現行法の建て付けは「国際結婚を認める+禁止行為を定める」です。禁止されるのは、偽装結婚・重婚・未成年婚などの特定の違法ケースです。

Q2. 年齢差が大きいと禁止?

「年齢差だけ」で一律禁止、という条文は確認できません。
ただし年齢差が大きい場合は、偽装結婚を疑われない説明・証拠がより重要になります(=禁止ではなく運用上のハードル)。

Q3. 結婚式だけ挙げれば結婚したことになる?

なりません。ベトナム法では、婚姻登録がない結婚は法的に無効です。

Q4. 2025年7月以降、どこに申請すればいい?

制度上は、社・坊(コミューン/区)レベルの人民委員会が戸籍権限を担う整理になっています。
ただし地域の実装状況もあるので、必ず事前確認が安全です。


まとめ:「禁止」ではなく、“禁止条件”と“手続き不備”を切り分ければ不安は消える

  • ベトナムの国際結婚は原則OK。禁止されるのは、偽装・重婚・未成年婚・強制・近親婚などの違法ケース。
  • つまずきの多くは「禁止」ではなく、登録主義(未登録は無効)+書類要件による差し戻し。
  • 2025年7月からは、手続き窓口(権限)が社・坊レベルへ移る流れが明確化。