ベトナム人の家庭はなぜ温かいと言われる?

――日本人が驚く「家族第一」の価値観

日本人男性がベトナム人女性と付き合ったり、結婚して最初に驚くのが
「家族の距離の近さ」です。

  • いつも誰かが家にいてにぎやか
  • 困ったときは当たり前のように助け合う
  • 親戚や近所の人まで家族みたいに接してくれる

こうした光景から、「ベトナム人の家庭は温かい」と感じる日本人は多いです。
では、その温かさはどこから生まれているのでしょうか。


1. 三世代・大家族が今も珍しくない

ベトナムでは、今でも祖父母・両親・子どもが一緒に暮らす三世代同居がよく見られます。

  • 祖父母が小さな子どもの世話をする
  • 共働きの夫婦を家族全員でサポートする
  • 食事も洗濯も「みんなで分担」する

このように、生活そのものが「チーム戦」になっているため、
自然と感謝や助け合いの気持ちが育ちやすいのが特徴です。

日本のように「核家族で、夫婦だけで何もかも抱え込む」という状況が少なく、
困ったときには周りの手がすっと伸びてくる——
この安心感が、ベトナムの家庭の温かさにつながっています。


2. 「家族が一番大事」という価値観が徹底している

ベトナム人の多くは、口を揃えて

「一番大切なのは家族」
と言います。

仕事より家族が優先されることも

  • 親が病気になったら、仕事を休んで看病する
  • 旧正月(テト)や命日など、家族行事を最優先する
  • 兄弟やいとこの進学・結婚のために、お金を出し合う

日本では「仕事を休みにくい」「家族行事は後回し」になりがちですが、
ベトナムでは家族のために仕事を調整することが当たり前

そのため、日常会話でも「お父さんは元気?」「お母さん今どうしている?」と、
家族の話題がとても多く、互いの家族を大事にする文化が強く根づいています。


3. 食卓を囲む時間が多く、会話がとにかく多い

ベトナムの家庭の温かさを語るうえで欠かせないのが、食事の時間です。

  • 朝はフォーやバインミーを家族で食べる
  • 昼休みに一度家に帰って、一緒にごはんを食べる人もいる
  • 夜は必ず家族そろって食卓を囲む家庭が多い

食事のときはテレビをつけっぱなしにしながらも、
「今日どうだった?」「仕事は大変じゃない?」と、
とにかく会話が飛び交います。

一緒にごはんを食べる回数が多いほど、家族の絆は深まりやすいもの。
この「毎日の小さな積み重ね」が、ベトナム人の家庭を温かくしている大きな理由です。


4. 愛情表現がストレートでスキンシップも多い

ベトナム人は、日本人と比べて感情表現がストレートです。

  • 「愛してるよ」「寂しいよ」「ありがとう」を口に出して伝える
  • 親が子どもの頭をなでたり、ハグをしたりする
  • 兄弟同士でも腕を組んだり、肩を抱き合ったりする

日本だと「ちょっと照れくさい」ようなスキンシップも、
ベトナムではごく普通の光景。

言葉と態度でしっかり愛情を伝えるからこそ、
家の中には安心感とぬくもりが生まれます。


5. 親戚やご近所も「ほぼ家族」という感覚

ベトナムの家庭の温かさは、家の外にまで広がっているのも特徴です。

  • 同じ路地に住む人たちと、しょっちゅうおしゃべり
  • 子どもを近所の人が一緒に見てくれる
  • 何かあれば、すぐに料理や果物を持って訪ねてくる

日本人から見ると「ここまで踏み込んでくるの?」と驚くほど、
ご近所との距離感が近いこともあります。

しかしそれは裏を返せば、
**「身近な人を放っておかない文化」**が根づいているということ。
この「ゆるやかなつながり」も、ベトナムの家庭の温かさに大きく影響しています。


6. 日本の家庭との違いは?

では、日本の家庭と比べると、どんな点が違うのでしょうか。

① プライバシーよりも「一緒の時間」を優先

日本

  • 「自分の部屋」「1人の時間」が大切
  • 干渉されすぎないことが居心地の良さにつながる

ベトナム

  • いつも誰かが同じ部屋にいる
  • 子ども部屋がなく、家族全員で一緒に寝ることも多い

個人のスペースよりも「みんなで一緒」が大事という感覚が強いです。

② お金も「家族のお金」という意識が強い

  • 子どもが大人になっても、親に仕送りをするのは当たり前
  • 兄弟・いとこの学費や結婚資金を、家族全員で助け合う

日本では「自分の収入は自分のもの」という意識が強いですが、
ベトナムでは家族全体のために使うお金という考え方が根強く残っています。


7. 温かさの裏側にある「ちょっと大変なところ」

もちろん、いい面ばかりではありません。
ベトナム人の家庭の温かさの裏には、日本人にとって負担に感じやすい部分もあります。

  • 家族行事が多く、自由な時間が減ることがある
  • 親戚も含め、みんなが何かと意見してくる(干渉が強く感じられることも)
  • お金の面で「家族のために」が重く感じられる場合もある

ただし、これらも家族を大切に思う気持ちの裏返し
お互いの文化背景を理解しながら話し合えば、
日本人にとっても居心地の良いバランスを見つけることができます。


8. ベトナム人の家庭に溶け込むための3つのポイント

最後に、ベトナム人の家庭に入り、
その温かさをポジティブに感じるためのコツをまとめます。

① 挨拶と感謝をしっかり伝える

  • 「Xin chào(こんにちは)」「Cảm ơn(ありがとう)」など
    簡単なベトナム語を覚えて使う
  • 小さなことでも「ありがとう」と笑顔で伝える

それだけで、家族の中でのあなたの印象は大きく変わります。

② 家族行事にはできるだけ参加する

  • 誕生日、命日、テト(旧正月)など、
    家族が集まるときは、積極的に顔を出す
  • 手土産を持っていく、日本の文化を少しシェアする

**「家族を大事にしている姿勢」**を見せることで、
周りからも本当の家族として受け入れられやすくなります。

③ 経済的な負担や将来のことは、早めに話し合う

  • どこまで家族を支援するのか
  • 将来、日本とベトナムどちらに住むのか
  • 親の介護や子どもの教育をどう考えるか

温かい家庭だからこそ、お金や将来の話を後回しにしないことが大切です。
誤解や不満を防ぐことで、その温かさを長く守ることができます。


まとめ:ベトナム人の家庭の温かさは「助け合い」と「つながり」の濃さから

ベトナム人の家庭が温かいと言われるのは、

  • 三世代・大家族で支え合う
  • 「家族が一番大切」という価値観が強い
  • 毎日の食卓を囲みながら会話が多い
  • 愛情表現がストレートでスキンシップも多い
  • 親戚やご近所まで家族のように関わる

といった理由からです。

日本人にとっては、
ときに「近すぎる」「干渉が強い」と感じる場面もありますが、
その根底にあるのは深い家族愛と助け合いの精神

ベトナムの家庭文化を理解し、その温かさを前向きに受け入れることができれば、
国際結婚やパートナーシップは、きっとより豊かで安心感のあるものになります。