外国人が日本で長期滞在するためのビザ(在留資格)の種類と違いを徹底解説

はじめに

近年、日本で働いたり学んだりする外国人は着実に増えています。とはいえ、日本で生活するためには**目的に合ったビザ(在留資格)**を取得しなければなりません。ビザごとに就ける仕事の範囲や在留期間、申請条件が異なるため、自分の目的に最適なビザを選ぶことが重要です。
この記事では、就労や留学など「長期滞在」を考える外国人向けに、主要なビザの特徴と違いをわかりやすく解説します。国際結婚に伴う配偶者ビザを検討している方や、外国人を雇用する企業担当者にも役立つ内容です。


ビザと在留資格のちがい

日本では

  • ビザ(査証)
    海外の日本大使館・領事館が発給する「日本への入国許可証」。
  • 在留資格
    入国後に日本でどのような活動を行えるかを示す資格(入管が管理)。

と定義が分かれています。日常会話では「ビザを更新する」と言いますが、正式な手続き名称は在留資格の取得・変更・更新です。この記事では説明をわかりやすくするため、在留資格を「○○ビザ」と呼ぶ場合があります。


日本にある在留資格の全体像

日本の在留資格はおおむね次の3カテゴリに分けられます。

区分主な例就労可否特徴
働くための在留資格(就労系)技術・人文知識・国際業務/経営・管理/特定技能 など〇(活動範囲は資格ごとに限定)約16〜19種類。仕事内容に応じた細かな区分あり
身分・地位に基づく在留資格日本人の配偶者等/永住者/定住者 など◎(活動制限なし)日本人と同様にどの仕事でも就ける
非就労系在留資格留学/家族滞在/文化活動/短期滞在 など×(原則不可)
※留学・家族滞在は資格外活動許可で週28時間以内のアルバイト可
主目的は就学や扶養など

主要ビザ(在留資格)の特徴一覧

在留資格活動内容・対象者在留期間の目安代表的な申請要件・書類
技術・人文知識・国際業務
(通称「技人国」)
ITエンジニア、通訳、デザイナー、企業の語学教師など専門職1・3・5年大卒以上または実務経験10年以上(国際業務は3年以上)/雇用契約書、卒業証明書、職務経歴書 ほか
経営・管理日本で会社を経営・管理する外国人(代表取締役・役員など)1・3・5年事業所確保、資本金500万円以上が一般的/事業計画書、登記簿謄本、資金証明 ほか
特定技能(1号・2号)介護・外食・建設など人手不足14分野の現場業務1号:最長5年
2号:制限なし
分野別技能試験合格、日本語試験合格/雇用契約書、合格証明書 ほか
技能実習開発途上国人材が日本企業で技能を学ぶ実習制度最長5年技能実習計画の認定、送り出し機関・監理団体の管理/計画書認定証、受入証明書 ほか
高度専門職(1号・2号)研究・技術・経営など高度人材1号:5年
2号:無期限
ポイント制70点以上/ポイント計算表、雇用契約書、年収証明 ほか
留学日本の教育機関で学ぶ学生3か月〜4年3か月入学許可、学費・生活費の経費支弁能力/入学許可書、残高証明 ほか
日本人の配偶者等
(配偶者ビザ)
日本人の配偶者・実子6か月・1年・3年・5年婚姻の実態、生活維持能力/戸籍謄本、質問書、収入証明、夫婦写真 ほか

補足:弁護士や医師など専門資格職向けのビザ、芸術・興行ビザなども存在します。活動内容によって適切な在留資格はさらに細分化されるため、該当するか確認してください。


ケース別:どのビザが適している?

日本企業に就職する

技術・人文知識・国際業務が一般的。転勤の場合は企業内転勤ビザを申請します。

技能や職人として働く

料理人や伝統工芸職人は技能ビザ。現場作業で人手不足分野なら特定技能が選択肢です。

起業・会社経営をしたい

十分な資本金と事業計画を準備し、経営・管理ビザを取得します。

大学教授・研究者として招へいされる

大学なら教授、研究機関なら研究ビザが適当です。

介護職で働く

国家資格を取得して介護ビザを申請します。

日本で学びたい

学校の入学許可を得て留学ビザを取得し、必要に応じ資格外活動許可でアルバイトが可能です。

日本人と結婚して暮らす

日本人の配偶者等(配偶者ビザ)を申請。就労制限がなく、どの仕事にも就けます。


ビザ申請の流れ

  1. 在留資格認定証明書(COE)を申請
    受入れ企業・学校・配偶者などが管轄入管へ申請書一式を提出。
  2. COEの交付
    審査に1〜3か月。交付後、原本を本人へ送付。
  3. ビザ(査証)の申請
    本人が居住国の日本大使館・領事館でビザ申請。数日〜数週間で発給。
  4. 日本へ入国し在留カードを受け取る
    空港の入国審査でCOEとビザを提示し、在留カードを受領。

すでに日本に滞在中の場合は、在留資格変更許可申請を入管に提出して切り替えます。


申請に必要な書類(例)

  • 共通:申請書、写真(4×3cm)
  • 就労系:雇用契約書、会社概要、学位・職歴証明
  • 留学:入学許可書、残高証明、学業計画書
  • 配偶者:戸籍謄本、質問書、収入証明、夫婦写真 など

書類に不備があると不許可の原因となるため、受入れ側と本人が協力し、要件を丁寧に確認しましょう。


まとめ

  • 日本で長期滞在するには、**目的に合った在留資格(ビザ)**が必須。
  • 在留資格は大きく「就労系」「身分系」「非就労系」に分かれ、活動範囲や要件が異なる。
  • 企業は採用時に適切な在留資格かを必ず確認し、手続きをサポートすることが重要。
  • 国際結婚の場合は配偶者ビザを計画的に申請し、必要書類を整えておく。
  • 最新情報は出入国在留管理庁の公式発表を参照し、不明点は行政書士・弁護士へ相談すると安心。

正しいビザで来日し、ルールを守って活動することで、外国人の皆さまは日本で安心して働き・学び・暮らせます。本記事を参考に、円滑なビザ取得と新生活のスタートにお役立てください。